【鵜呑みは危険】塾の合格実績数を見るときの3つのポイント

塾の合格実績を見るときの3つのポイント 入試全般
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まさお
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塾の合格実績ってどこまで信じていいの?

日本中のほとんどの塾が自塾の合格実績をWebサイトなどに記載していますが、そのカウント基準は塾によってまちまちです。
中には模試を受けに来ただけでカウントしてしまうような塾すらあります。いったい塾の合格実績はどのように見ればよいのでしょうか?

今回は「学習塾の合格実績を見るときのポイント3選」です。
首都圏主要塾の合格実績の比較もしてみましょう。

塾の合格実績を見るときのポイント

◆合格実績カウント法は各塾まちまち
合格実績ページ内のカウント方法を必ずチェック
「全国学習塾協会」の基準に近い塾は良心的ととらえてよい
⇒上位校の一部しか公表していない塾はそれ以外の合格実績を問い合わせた方がよい
◆ほとんどの塾は合格率を公表しない
何人受験してこの合格実績になったのか問い合わせてみるとよい
⇒すぐに応えてくれる塾は良心的。中には受験者数は非公表という塾も。
何も考えずに合格実績を横並びに見るのは危険!

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塾選びと合格実績数

まさお
まさお

皆さんは「塾の指導力」を評価する際に、何を基準にしますか?

生徒A
生徒A

塾のブログやホームページを見るけれど、一番は「合格実績」だと思います。

まさお
まさお

そうですよね。合格実績をもとに塾の指導力を評価するというのが塾選びの基本になっています。今日はココを少し不可ぼってみますね。

塾の集客のための「合格実績」

多くの大手塾は、自塾のアピールポイントとして「合格実績数」を掲げています。
早稲田アカデミーが始めた、棒グラフが年を追うごとに伸びていき、それを強調する上向き矢印のついた広告をいろいろな塾が真似しています。

こんな感じのヤツです。

早稲田アカデミーホームページより

合格実績の数値が伸びていることで、自分の子供を通わせたら良い結果につながるのではないかという期待感を抱かせ、生徒が増えるという構図になっています。

ただし、この数字がどういう基準をもとに出された数字なのかは、塾によってまちまちという大問題が塾業界にはあります。

たとえば、上記の早稲田アカデミーの合格実績のカウント基準は以下のように説明されています。

【合格者数の集計について】

合格者数は、早稲田アカデミーグループ(早稲田アカデミー・SPICA・早稲田アカデミー個別進学館・水戸アカデミー・QUARD、及び早稲田アカデミー海外校)に、塾生として正規の入塾手続きを行い、受験直前期まで継続的に在籍し、授業に参加した生徒のみを対象に集計しています。
テストのみを受験した生徒、夏期集中特訓・正月特訓・その他選択講座のみを受講した生徒は、一切含んでおりません。

皆さんは、この基準を見てどう感じますか?
業界人だと「塾生として正規の入塾手続きを行い、受験直前期まで継続的に在籍し、授業に参加した生徒のみ」がとっても気になります。

  • 「正規の入塾手続」とは?
  • 「受験直前期」とは何月まで?
  • 「継続的」とは何カ月?

具体的な数字が入っていないので、「冬期講習だけ参加してもカウント対象にできるってこと?」などと疑問が湧いてしまい、不明瞭なところが多いのです。

まさお
まさお

「正規の入塾手続」というのも非常に怪しい言葉で、講習のみでも塾生として参加させることだって可能なわけです。最後の注釈に「夏期集中特訓・正月特訓」は入っているのに、「講習会」が入っていないのも妙な表現の仕方だよな…と思ってしまいます。

でも、この状況は早稲田アカデミーだけではありません。他の塾についてもどんな表記になっているか確認しみましょう!

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塾の「合格者の水増し」疑惑

他塾の確認の前に、塾の合格実績水増し疑惑についての週刊ダイヤモンドの記事をご紹介しておきますね。

2021年9月に発行された、「週刊ダイヤモンド9月25日号」には「わが子にピッタリ!がわかる 塾・予備校」という見出しの記事が出ています。
その中で「『合格者水増し』疑惑も噴出!」という刺激的な言葉で臨海セミナーの件を取り上げています

オンライン版は以下のURLから概要の確認が可能です。

上記、週刊ダイヤモンドの記事の中で合格実績に関する問題点を以下のように列記しています。

  • 合格実績を作るために、入試直前に他塾の生徒を「特待生」として勧誘し合格実績に組み入れる手法を取っている塾がある
  • 合格実績のカウント方法について「全国学習塾協会」が合格実績のカウント基準を策定しているが、大手塾でもこの基準通りに合格実績を出している塾は少ない
  • 1人の合格者が複数の塾で合格者としてカウントされることがあり、各塾の合格者を足すとその学校の合格者総数を越えてしまうこともある

特に特待生の扱いは塾によってはひどいことがあり、例えば受講料を無料にして在籍させてしまい、無理やり合格者にカウントするといった手法もかつて聞いたことがあります。
現在どの程度の手法がとられているかわかりませんが、塾の合格実績を見るときにはカウント基準を必ずチェックすることが重要です。

まさお
まさお

今回の習慣ダイヤものどの記事は、学習塾の実力を公平に評価したいという思いがある反面、物差しとなる基準は各塾独自の公表数値に頼らざるを得ないというジレンマがあります。
合格実績の数字のみに頼った塾選びは失敗する可能性もあるということです。

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合格実績を見る際の3つのポイント

こんな状況では各塾の合格実績をどう見ればよいか分からなくなってしまいますよね。
塾選びをする際の合格実績にまつわる確認ポイントを3つご紹介します。

1.主要塾の合格実績のカウントルール

1つ目のポイントは「合格実績」のカウントルールが明確かつ誠実かです。

全国学習塾協会の基準に照らして比較してみるとよいでしょう。

【基準】全国学習塾協会の基準

公益社団法人全国学習塾協会は全国の塾に対して、自主基準実施細則というのを提示していわゆる「基準」を定義しています。

自主基準実施細則

上記の第2条2項の六として、合格実績基準を明記しています。具体的なポイントは以下の通りです。

合格実績に関する自主基準

受験直前の6ヶ月間の内、継続的に3ヶ月を超える期間当該学習塾に在籍し、通常の学習指導を受けた者とし、かつ、受講時間数が30時間を超える場合とする。なお、当該時間に受験直前における集中講義等の受講時間を含めることを妨げない。

つまり、以下の規準をすべて満たす必要があります。

  • 受験直前の6ヶ月間の内、継続的に3ヶ月を超える期間当該学習塾に在籍していること。
  • 通常の学習指導を受けたものであること
  • 受講時間数が30時間を超えていること

2月に入試がある場合、9月~1月の間に3カ月以上在籍をしていて、受講時間が30時間を超える塾生であれば問題ない」ということになります。

まさお
まさお

これを各塾が守る義務はないのですが、この基準を意識している塾は比較的良心的ととらえてよいでしょうし、合格実績の数字が爆上がりしていてこの基準を無視している場合は、何か自分たちに都合の良い基準を設けている可能性を疑った方がよいと思います。

首都圏主要塾の合格実績基準

では、実際に各塾の合格実績の算出基準を見てみましょう。
2022年10月2日段階の各塾のWebサイトの記述からまとめています。

塾名在籍期間
3カ月以上
受講時間
30時間以上
テスト生・非塾生
などを含めない
まさお
所感
栄光ゼミナールすべての基準を明記
湘南ゼミナール「全国学習塾協会」の基準に
従って集計と明記
市進学院すべての基準を明記
SAPIX小学部×内部生のみと明記
3か月以上在籍の記述なし
SAPIX中学部×内部生のみと明記
3か月以上在籍の記述なし
早稲田アカデミー×3カ月以上在籍の記述なし
講習を含まないか不明瞭
四谷大塚×3か月以上在籍の記述なし
YTnet参画塾の自己申告集計の
可能性あり
日能研×××基準に関する記述なし
臨海セミナー×××基準に関する記述なし
ena×××指導実績10時間以上をすべて記載
2022年10月2日段階のWebサイトの記述を集約

いかがですか?
大手と言われるところでも、全国学習塾協会の基準を順守しているところの方が少ないのが実態なのです。

これが学習塾業界の成熟度でもあるし、いまだ社会の一員としては異端の位置から抜けられない背景でもあると思います。

業界団体のリーダーシップのもとに「学習塾業界」として、一定サービス基準を定めてフェアに競争できる日が来るとよいのですが…。

まさお
まさお

このような塾業界の実態を把握した上で、各塾の合格実績の数字を見るようにしましょう。
もちろん、圧倒的な合格数を誇っている塾はこのような基準の差など関係ないところもあるのですが、この基準の操作によって、ライバル塾よりも数名だけ合格実績を高く見せている塾があることも、聞いたことがあります。
このあたりに塾の倫理観が出見え隠れするということです。

2.もう一つの重要指標「合格率」

2つめのポイントは「合格率」です。

合格実績は各塾が必至になって受験生を集めて、カウント基準をあいまいにしてでも数字を積み上げたいという、集客の命綱ともいうべき数値なのですが、「合格率」を公表している大手塾はありません

これは、各塾お互いを牽制し合うようなパワーバランスで公表ができない状態と考えるべきだと思います。

つまり、合格実績を増やすには多少合格可能性が低い生徒でも受験させないと合格通知はもらえません。ひどい塾になると、合格率が全体倍率の半分以下といった塾も存在するようです。

たとえば、ある塾が「自塾の合格率は70%です。」と公表すると、他の塾もそれを基準にその数値を超える合格率を出さないと比較で負けてしまいます。

一方で、各塾は自信をもって出せる合格率ではないがゆえに、これを公表していないと考えるのが妥当だと思います。

受験者数と合格者数を共に出せるようになれば、その塾は真の意味で信頼に値する塾ということができるでしょう。

3.直接問い合わせたときの対応

ここまで見てくると、塾選びとはWebサイトだけで決められるものではないことがわかりますね。

合格率もWebサイトで公表していなければ、直接問い合わせて聞いてみればよいのです。

3つ目のポイントは鶴寿に問い合わせた時の対応です。

すぐに答えてくれる塾、口ごもって困ったような対応をする塾、マニュアルにないので答えられないという塾等々、反応はまちまちだと思います。

その反応を見て、自分の価値観ときちんと合う塾こそが信頼に足る塾だと思います。

まさお
まさお

その意味では、尊敬に値する塾長が経営する個人塾があれば、そこが最強かもしれません。大手塾は指導ノウハウの一般化である程度の枠組みで合格は出せますが、本当に個人に適合した指導ができるかと言えば、限界もあると思います。
ただし、個人塾は大手塾以上に当たり外れが大きいので、信頼に値する先生個人がいらっしゃるか、またその方が受験までお元気で指導してくれるか(体調不良などで離脱しないか)まで、見極める必要があると思います。
塾選びは本当に難しいですね。

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