【異常な高倍率】立川国際附属小の人気は健全と言えるか?

立川臭い附属小の高倍率教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
12/4、公立初の小中高一貫教育校である「立川国際中等教育学校付属小学校」の第2次(適性検査)と第3次(抽選)が行われ、合格者が確定しました。

男女58名の定員に1,797名が応募し、倍率は30.98倍となっていました。

今回のテーマは「都立小中高一貫校の人気は健全と言えるか?」です。

都立一貫校の高倍率を健全と見るべきではない

◆公立初の小中高一貫教育校の倍率は30.98倍
30.98倍という倍率はもはや異常値というべき高倍率
⇒人気が高いと言えるが、地元公立校の教育への信頼感のなさの現れともいえる
◆東京都はこの高倍率を成功ととらえるべきではない
⇒この学校のことだけを考えれば成功と言えるが…。
都民全体のことを考えれば不合格者を出し過ぎととらえるべき

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立川国際附属小の倍率

全国初の公立小中高一貫教育校である「立川国際中等教育学校附属小学校」は、12/4に一般枠募集の第2次(適性検査)と第3次(抽選)の結果発表を行いました。

受検者数と合格者数は以下のような状況になっています。
東京都教育委員会の発表資料はこちらから確認できます。

項目男子女子合計
募集人員292958
応募者数9168811,797
第1次(抽選)通過者数200200400
第2次(適性検査)受検者数187190377
第2次(適性検査)通過者数5858116
第3次(抽選)通過者者数292958
倍率31.5930.3830.98

11/18の本ブログでも取り上げましたが、30.98倍というとんでもない高倍率になっています。

まさお
まさお

小学校の受検ということで、くじ引き感覚で応募した保護者も一定数いるのかもしれませんが、客観的に見ると異常値ともいえる高倍率です。
これはそもそもよいことなのか疑問にすら思えてきます。少し深掘りして考えてみたいと思います。

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異常な高倍率の背景は?

今回の30.98倍という高倍率は、開校準備に当たってきたスタッフの皆さんにとっては大変喜ばしい、いわば大成功ともいうべきスタートということになると思います。

このような大人気の背景は何なのでしょうか?
ポイントは以下のような点だと思います。

高倍率となった背景は?
  1. 入学すれば中学受験と高校受験をしなくてすむ
    ⇒次が大学受験というのが最大の人気の背景だと思います
  2. 立川国際中等教育学校自体の魅力
    国際化教育という特徴が時代にマッチしている
    母体校の大学進学実績が非常に良く通わせるに足る魅力がある
  3. 私立中受験に比べて学費が安い
    ⇒学費負担が少ないため応募への心理的障壁が低い
  4. 地元公立小への信頼感のなさ
    ⇒教員不足による経験の浅い教員増なども影響か

端的に言うと、受験が少なく、学費が安く、進学実績にも期待ができて、国際感覚を養えるということで、とりあえず受験も含めて多くの受験生を集めたということになると思います。

まさお
まさお

もう一つの側面として、地元の公立小学校への信頼感のなさの現れではないかとも気になります。
教員不足から教員採用試験の倍率も下がり、経験の浅い先生が急速に増えています。特に小学校低学年は経験不足の先生には荷が重く、親としても大丈夫か不安に思っているのではないかと思います。

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1,739人を不合格にしたことの意味

一方で、1,797名の応募者に対し、合格者はたったの58名ということで、実に1,739名に対して不合格のレッテルを貼ったという問題もあります。

公立学校の公平性や多様性を担保するために、2回の抽選が入っていることも大きな特徴です。この選抜方法の意味も改めて考えてみたいと思います。

1次の抽選は完全に学校都合

国立大学の附属小学校を含め、いくつかの学校は小学校受検時に抽選を行っています。

理由は、適性検査を処理できる受検者数に限界があるためで完全に学校都合の制度設計になっています。

学校によって抽選倍率は異なりますが、中学・高校・大学の入試制度と比べると明らかに異質です。今の時代に適性検査受検のチャンスもなく不合格にしてしまう抽選制度は遅かれ早かれ問題視されることになると思います。

抽選制度を行う理由を再度整理しておく必要があると思います。

まさお
まさお

上記抽選制度の背景として、入学者は適性検査の上位生(成績優秀生)であるべきかという議論もあります。公立小中高一貫教育を受けるに足る基礎学力があればよいのであれば、適性検査を基礎学力チェック程度にとどめて、幅広く合格者を出し、そこから抽選を入れるという世界もあるのかもしれませんね。

適性検査合格者をもっと増やすべき

小学校受検とは言え、適性検査で不合格を出すということについて保護者とその子供に少なからずショックを与えているはずです。

第3次の抽選で、適性検査合格者でも入学できない子どもがいることを考えると、適性検査の合格者数を成績上位からの人数で切るのではなく、基準点で切るといった対応も検討すべきではないかと思います。

適性検査での合否は、同校の教育水準について行けるだけの基本的な能力のある子供を広く受け容れ、それを抽選で公平に絞り込むという方が、制度としては受け入れられやすいのかもしれません。

まさお
まさお

入試制度のあるべき姿としては、たとえ受検者が多くても全員に受検してもらい、その成績の良い方から合否を決めるのが真っ当です。

一方で、小学校の場合はそのようなやり方だと入学者に学力特性上の偏りが出るなどの不都合があるのかもしれません。本来はこのあたりの研究結果を踏まえて抽選制度の在り方が設計されるべきだと思います。

小学校ガチャという事実

この記事を書いて改めて考えさせられるのは、地元の公立小学校に行くのも都立小学校に行くにしても結局「小学校ガチャ」だということです。

地元の小学校もどのような先生に巡り合えるかは結局入学してみないとわからず、かなり運の要素に左右されます

一方で、国立にせよ都立にせよ小学校受験をしようと思えば少なからず抽選の影響を受ける可能性があり、これも運の要素に左右されます

日本の小学校教育は運によって学習環境が大きく左右されることは間違いないということです。

まさお
まさお

重要なことは小学校教員の質の担保だと思います。中学や高校に比べると大きな負荷のかかる小学校教員は発達心理学等の知見を教員に深く学んでもらう代わりに、中高に比べて高い給与を支払うなど制度上も小学校を優遇する必要があるように思います。

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