こんにちは。まさおです。
4/29、産経新聞の記事で文部科学省が全国の自治体に対し、スクールカウンセラーが生徒児童の心の問題の解決のための「助言」をするように求めたというものがありました。
スクールカウンセラーの在り方が問題になっているようです。が、これは本質的な指摘ではないような気もします。
よって、今回は「スクールカウンセラーの助言は必要か?」というテーマを取り上げます。
産経新聞の報道内容とその趣旨
まずは、産経新聞の報道内容を見てみましょう。
この報道を見る限り、スクールカウンセラーに求めている職務とスクールカウンセラー自信ができると思っている範囲がそもそもずれているように見えます。
スクールカウンセラーに必要な助言を求めるのであれば、どのような助言をどういう形で求めるのかを定めた方がよいように思います。
カウンセリング手法の中には「相談者中心療法(クライエント中心療法)」のように、カウンセラーが指示や助言をすることを禁じる考え方もあるようです。
来談者の話をよく傾聴し、来談者自身がどのように感じ、どのように生きつつあるかに真剣に取り組んでいきさえすれば、別にカウンセラーの賢明さや知識を振り回したり、押しつけたりしなくても、来談者自らが気づき、成長していくことができる
日本診療心理士会のWebページより
ここまでのスクールカウンセラーの議論がどう展開していたかを調べないと何とも言えませんが、制度設計をする側が臨床心理士のことをよく理解しないまま、こうあることが望ましいという理想だけでガイドラインを作ってしまったとすると悲惨だなと思います。そんなことはないと思いますが。
一方で、非常勤のスクールカウンセラーを採用する際に、どのような職務を期待しているかの明確な提示がなく、目的である「不登校の児童生徒の心理的な問題の改善」などを中心に説明している可能性もあると思います。そうなると、助言や共有の範囲はスクールカウンセラーの判断範疇となり、求めるレベル感とずれるのもある意味当然のような気がします。
ガイドラインの「助言」は実効的か
以下は個人的な意見です。
今回問題になっている「助言」ですが、ここでいう助言は例えば不登校の生徒を再度学校に通わせるようにするとか、親子間の人間関係の問題を解決するといったことを狙っているのかがよくわからないです。
自分が過去に見てきた生徒の様子からも、一度不登校になった生徒を再度学校に通わせようとする意識そのものがすでに無理筋のケースもあり、「助言」の定義をきちんとしないとスクールカウンセラーにできもしないことを求めるような問題になりはしないかと心配になりました。
本来、スクールカウンセラーは「学校教員でカバーしきれない児童生徒や教職員の心の問題を主に相談を通して軽減する」というような立ち位置だと思います。
参考までに文部科学省のスクールカウンセラーに関する報告ページをリンクしておきます。
これを読む限りスクールカウンセラーの在り方自体が議論の途上にあるように見えます。
スクールカウンセラーの取り組みに対して、一般的な業務のように、「不登校改善割合」だとか「スクールカウンセラーの生産性」といった指標を持ち込もうとすると本質からずれた議論になってしまうように思います。
心の問題は人それぞれ異なる原因や背景があり、「解決」をゴールとするものではないと思います。
スクールカウンセラーは「心の問題」を扱うだけに、他の業務とは一線を引いた議論が必要だと思います。学力試験のように模範解答があれば定型の「助言」はできますが、心の問題への踏み込み方は慎重にあるべきではないかと思います。
いずれにせよ、議論が足りないので、もっと議論を尽くしてあるべき姿を確定させる必要がありそうですね。
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