【追加合格1名】大阪大学で出題ミスが発覚。図表に誤り

大阪大学が出題ミスで1名の追加合格を発表 大学入試
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
6/10、大阪大学は2022年2月に実施した一般選抜(前期日程)の地理のしゅつだに誤りがあり、1名を追加合格にしたと発表しました。
そもそも撲滅は難しい出題ミスですが、今回はどのようなミスが発覚したのでしょうか。
今回のテーマは「大阪大学の地理に出題ミスで、1名追加合格」です。

大阪大学の出題ミス

◆一般選抜(前期日程)の地理の出題に誤り
問題用紙に記載されていた散布図が実際のデータと異なっていた
⇒論述問題のため、図が異なると内容も大きく変わるため全員正解措置に
⇒この結果1名が追加合格に
◆出典データとの突合チェックが十分でなかったことが原因
グラフの元データは原本に戻らないとチェックできない
⇒現在のチェック工程も綿密なものだが、大学側はより精度を上げていくと発表
問題作成とチェックの負担が大きくこのままの出題形式を継続するか再考すべき

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大阪大学で出題ミスにより追加合格

6/10、大阪大学は2022年(令和4年)2月に実施した一般選抜(前期日程)の地理歴史(地理)の出題内容に誤りがあったとして、1名を追加合格にしました。

大学側のリリースは以下の通りです。

ミスの内容とは?

上記ページ内にリンクされているPDFに誤りの内容が具体的に記載されています。

誤りの内容

地理科目 大問 (Ⅰ)・問1中の図1(散布図)において、グラフ上に示されたプロットの位置関係が実際の統計上の数字と異なる分布になっていた。
具体的には、
(1)縦軸に割り当てられた数値が国際観光客の到着数ではなく、出発数であったこと、
(2)横軸の正しい伸び率を示す位置にプロットしていなかったこと、
(3)「アフリカ」「中東」の国際観光客の出発数に誤りがあったこと
である。
結果として、グラフ上の表示が
(1)各地域(円積表示されているプロット)の散布図上の縦方向の相対的位置関係は変わらないが、
(2)横方向に関しては、実際には「アジア・オセアニア」「アフリカ」「ヨーロッパ」「中東」「北・中央・南アメリカ」の順に高い数値であるところ、「中東」「アフリカ」「北・中央・南アメリカ」「アジア・オセアニア」「ヨーロッパ」という順に誤って示されていた。

上記太字の散布図の表示順が異なっていたということになります。

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実際の入試問題

まさお
まさお

上記が問題文です。グラフを見て、世界の国際観光客流動について150字で説明するという問題です。
元となるグラフが変わると記述内容が全く異なりますから全員正解にせざるを得ないと思います。

大阪大学の資料より地理の「誤ったグラフ」
大阪大学地理の正しいグラフ
大阪大学の資料より地理の「正しいグラフ」
まさお
まさお

2つのグラフを一目しただけでも、ヨーロッパが最大の観光客受け入れ数を誇りながらも成長が続いているか成長が鈍化しているかの差があるため、記述内容は全く異なるものになってしまいますね。

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大阪大学の作問チェック体制は?

今回、このようなミスをした大阪大学ですが、作問時のチェック工程はいい加減なものではありませんでした

公表資料から以下のようなプロセスを取っていることがわかります。

作問時のチェック工程(従来)
  • 問題作成に関わった教員による複数回(4回)にわたる内容及び記載の精査
  • 問題作成に関わっていない教員による問題等の複数回(2回)にわたる確認
  • 問題作成責任者と入試課との綿密な打ち合わせ

回数が全てではないですし、どれだけ真剣に向き合っているかでも制度は変わると思いますが、ミスをしないための体制を作ろうとしている意図は十分伝わってくる内容だと思います。

これを以下のようにすると発表しています。

作問時のチェック工程(今後)
  • 問題作成に関わった教員による複数回(4回)にわたる内容及び記載の精査
  • 問題作成に関わっていない教員による問題等の複数回(2回)にわたる確認
  • 問題作成責任者と入試課との綿密な打ち合わせ
  • 学内の第三者による内容及び記載の精査
  • 問題作成の各段階においての確認すべき工程を可視化して、入試の実施責任者による管理を徹底
  • 図表等の出典元データと試験問題との整合性の確認、内容及び記載の精査の回数を増やす

太字の3工程を増やして正確性を担保するということです。

まさお
まさお

普通に考えて、これほどの詳細なチェック工程を経るとなると、担当者の心理的負担も相当高くなると思います。そこまでチェックして問題の正確性を担保しないといけないというのは、正に今の入試制度の難しさだと思います。

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学力検査の試験形式はもう限界

毎回入試ミスをの記事を書くたびに書いていますが、このようなチェック体制を未来永劫続けていくことが可能でしょうか?

このようなミスが出た直後は、問題意識もあってきちんとしたチェック体制の運用が進みますが、これが数年続いてミスが減ってくると少しずつ心のスキが出てきて、体制はそのままでも実施制度が緩んできたりするものです。

ルールとしては存在しているけれども、魂がこもらなくなってくるということです。
そうなると、今回と同様のミスがまた起こってくるのではないかと思います。

つまり、入試問題のミスはチェック体制をアップしてもなかなか完璧につぶしこむことは難しいのではないかと思います。

では、どうすれば解決するのでしょうか?

1つには、入試問題をもっと基礎的な易しい問題に変えてしまうということです。大勢の大人が何回もチェックしなければミスがつぶせない問題を作り続けようということ自体がそもそも無理な話だということです。過去に使った問題を使いまわすことも含め、簡易的なテストにしてしまえばミスは減らせます。

もう1つは、さらに踏み込んで学力検査そのものを辞めてしまうということです。
学力検査方式は、多くの受験生を一括処理で合否判定しようというもので、そろそろ入学者選抜のやり方としては役割を終えつつあるものと思います。

入学者選抜の軸を総合型選抜に移すとか、一般選抜の定員を減らしてエッセーの事前提出+面接などで学力レベルを判定するとか、決まった試験時間内に何点取れたかという競争を辞めていくことがあるべき解決の道筋ではないかと思います。

10年スパンでの取り組みになると思いますが、その方向に進んでいくことを期待します。

まさお
まさお

入試ミスの記事は今年も10本を超えています。毎年多くの大学・高校・中学が追加合格者を出してお詫びをしています。追加合格になった受験生側も一度動き出した生活を巻き戻さざるをえなかったり、長い人生に残る大きな心の傷のようなものを受けたりする重大な問題だと思います。
是非真剣に取り組んでいってほしいと思います。

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