「『文節相互の関係』っていう言葉自体がわかりづらい。」という声をよく聞きます。
1つ1つステップを踏めばそこまで難しくはないのですが、雑な説明と雑な理解だとかえって複雑に見えるかもしれません。
今回は「文節相互の関係」を解説します。
ちょっと説明が長くなるので、2回に分けて掲載します。
前回の「文の成分」は以下から確認をしてください。
「文節相互の関係」とは?
前回、「文節」が文の中で持っている役割のことを「文の成分」と呼ぶという説明をしました。文の成分には「主語」「述語」「連体修飾語」「連用修飾語」「接続語」「独立語」がありました。
今回の「文節相互の関係」というのは「相互」という言葉の通り、「複数の文節のお互いの関係を整理してみましょう」ということです。
したがって、文節相互の関係を問う問題では、必ず複数の文節に線が引かれていて、その複数の文節の関係を答えさせるという形式で出題されます。
入試で文節相互の関係がズバリ問われるケースは少ないかもしれませんが、言葉を正しく理解するうえで、特に「並立」や「補助」の考え方を知っておくことは大変意味のあることなので、丁寧に理解しておくべきです。
入試で問われることは少なくても、学校の定期テストではガンガン問われます。内申対策という意味でも日本語理解の基礎的スキルという意味でも、文節相互の関係を正しく理解しておくことは大事です。
主語・述語の関係
具体例を見て考えるとわかりやすいので、例文を見てみましょう。
例) きっと 明日は 雨が 降るだろう。
この例文は4つの文節からできています。
それぞれに文の成分があるのですが、今回は「文節相互の関係」なので、ここから2つの文節を抜き出して考えてみることします。
例1)きっと 明日は 雨が 降るだろう。
上の文では「雨が」という文節と「降るだろう」という文節に線を引きました。この2つの文節の文の成分はわかりますか?
正解は…
「雨が」…主語
「降るだろう」…述語
となります。なぜかわかりますか?
前回の説明にも書きましたが、文の成分は最初に「述語」から探すのが基本です。述語は普通の文では最後になることが多いからです。この文でも「降るだろう」が述語というのは知識さえあればすぐに気づけます。
次に主語を探します。
主語は述語の「何が」にあたる文節ですので、「何が降るのか」と考えれば主語がわかります。降るのは「雨」ですから「雨が」が主語になるわけです。
例1)は主語と述語に線が引かれているということです。
このように、「主語」と「述語」に線が引かれている関係であれば「主語・述語の関係」です。
分かりやすいですよね。
「簡単、カンタン!」とタカをくくっていると落とし穴にはまりますので注意してください。
たとえば、
例2)きっと 明日は 雨が 降るだろう。
このように「明日は」と「降るだろう」に線が引かれたらどう答えますか?
つい「主語・述語の関係」と答えてしまいたくなりませんか?
これは主語・述語の関係ではありませんので注意です。
続きに進めば正体がわかります。
修飾・被修飾の関係
例2)きっと 明日は 雨が 降るだろう。
この例文の下線の文の成分を考えてみましょう。
「降るだろう」は先ほどやりました。「述語」です。
問題は「明日は」ですね。
「明日は」は「~は」で終わっていますが、主語ではありません。
主語は「~が」にあたる文節です。「明日が降るだろう」という言い方にすると意味がおかしくなってしまいますから、「明日は」は主語ではないぞ!と気づけるようにしましょう。
「明日は」は雨がいつ降るかを説明している文節です。このように他の文節の内容を詳しく説明する文節を「修飾語」と言いました。
つまり、
「明日は」…修飾語
「降るだろう」…述語(修飾語によって修飾されている)
と整理できますね。
このように、「修飾語」と「修飾されている文節」の二つに線が引かれているものを「修飾・被修飾の関係」と言います。
「被」は「~された」という意味でよく使われますので、知識として覚えておくと知らない言葉に出会ったときに意味が想像しやすくなります。
この場合の「被修飾」は「修飾された」という意味だということです。
「被」という感じの意味をきちんと覚えておきましょう。「被」は「~される」という意味です。たとえば、「被害者」は害を受けた(害された)者という意味です。原爆で放射線を浴びた人を「被爆者」と言いますね。
並立(対等)の関係
「並立の関係」は、参考書によっては「対等の関係」と言われることもあります。線の引かれ方に特徴があるので、よく理解しておいてください。
例3) 彼の 発言は 面白くて わかりやすい。
この例文の「面白くて」と「わかりやすい」の関係を考えてみましょう。
「面白」いのも「わかりやすい」のも「彼の発言」のことを指していますよね。
つまり、彼の発言は「面白い」とも言えるし、「わかりやすい」とも言えるということです。
このように、ある文節に対して、複数の文節がそれぞれその文節の内容を説明している場合、「並立の関係」あるいは「対等の関係」と言います。
少し慣れが必要かもしれませが、下線の2つの文節は内容こそ違いますが、文の中での働きは同じ(「彼の発言」がどのようなものかを説明している)ということなのです。
ほかにもいくつか例を挙げておくと、
例4) 細くて 長い ペンを 探している。
例5) 彼女は A君と B君を 呼び出した。
対等の関係の文節のイメージがわきましたか?
ここまでイメージできれば問題ないと思います。
最後に「補助」の関係があるのですが、これは少し内容が複雑なので、別の記事で詳しく解説します。
まずはここまでで説明した「主語・述語」「修飾・被修飾」「並立」を完璧にしておきましょう。
コメント
例を交えた説明がとても分かりやすかったです!☺️
実力テストの範囲なのでこれで頑張りたいと思います
コメントいただきありがとうございます。
遅くまで頑張っていますね。
改めて本文を確認していくつか変換ミスがあったので直しておきました。
実力テスト頑張ってください!!