こんにちは。まさおです。
4/25、茨城県教育委員会は2023年度の入試においてスキャナーで読み込んだ解答用紙をパソコンで分析するOCR(光学的文字認識)を導入すると発表しました。
2021年度に大量の採点ミスをした反省から様々な観点でミス防止の取り組みをしています。
今回は「OCRによる採点ミス防止策」について取り上げます。
全ての公立学校が使いこなせるかが最大のポイントになると思います。
茨城県の23年度入試向けの取り組み
4/25、茨城県教育委員会は2023年度入試に向けて県立中高にOCR(光学的文字認識)を導入すると発表しました。
茨城新聞の記事をご紹介しておきます。
上記のような対応で採点ミスの撲滅を目指すということのようです。
茨城県の2022年度の公立高校の入試問題は、記述問題が姿を消し記号問題ばかりになっていました。これも採点ミスを防ぐための工夫なのでしょうが、これまで目指してきた思考力・表現力といった内容が入試ではあまり問われなくなっているようです。
今後のトレンドを考えるといつまでの記述なしというわけにもいかないでしょうから、記述問題も含めた採点精度向上施策が必要になると思います。
十分なテスト運用が重要
茨城県教育委員会の構想では、OCR導入により採点時間を確保し精度向上を目指すとしていますが、実運用については十分なテストが必要だと思います。
OCRの読み取り精度は十分か
OCRの読み取り精度は記号問題で99%程度ということが報道で触れられていますが、99%程度の精度というのは「非常に誤りが多い」という評価になると思います。
受検者が500名いて、5枚の答案を出すと2500枚の答案をOCRに欠けることになります。記号問題だけに注目して、1教科の解答用紙に記号問題が20問あったとすると、50,000カ所の記号問題をOCRに欠けることになります。
仮に読み取り精度が99%で500カ所、99.9%でも50カ所の読み取りミスが発生する計算になります。
一般的なOCRの対応としては、採点前に読み取り間違いを正しく修正する工程を入れることになりますが、そこが人の作業であるところでミスが発生するリスクがあります。
パソコン2系統でやるにしても、同じソフトを使えば2系統とも同じ読み取り間違いをする可能性が高く、パソコン2系統は同じ結果を吐き出すと思われるので、最後は人間の目でチェックする負担が増す可能性もあると思われます。
2022年度の答案を使った運用テストを繰り返して発生し得る課題を出し切っておくことが重要だと思います。
最新のAI-OCRなどを使えば、もう少し精度は上がると思いますがOCRの読み取り精度の向上と読み間違いの修正工程に熟練した者が配置できるとかなり採点ミスのリスクを減らせると思うのですが、ここの対応を誤るとかえってミスが増える可能性もあると思います。
全公立中高校で同じ運用ができるか
もう一つの課題は、各学校が同じOCR採点の手順を正しく運用しきれるかという点です。
入試の採点は県立中高が学校単位で行うため、OCRの操作やミスのチェックについて各校がそれぞれ自立して行える必要があります。
一般に学校の先生はPCの操作などに詳しい人が少なく、ちょっと難しい話になると急に腰が引けてしまう人も多いと思われます。
膨大な数の答案をOCRにかけて採点をするとなれば、ある程度の人数をOCRの操作に充てる必要が出てくるので、各学校がそれぞれ十分な人数を確保できるかという課題が出て来ます。
事前に十分な操作研修をしていれば大丈夫ですが、OCRで読み取った後の採点をどう行うのかといった一連の処理フローを作り上げて対応を進めていく必要があると思います。
茨城県の前向きにミス撲滅に様々な施策を取り入れる姿勢は素晴らしいと思います。実運用で十分な成果が上げられるまで工程を練り上げた上で、十分な研修をしておくことが肝要かと思います。
結果にも注目したいと思います。
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