「今度の都立高校入試の募集定員はどうなる?」
10/20、東京都教育委員会は2023年度都立高校入試の募集定員を発表しました。
東京都は全国でも珍しい、公立中学校の生徒数がほぼ横ばいもしくは少し増加するエリアです。
それに伴い、都立高校の募集定員も少し増え、10校が1学級募集人員増としています。
今回は「2023年度入試 都立高校募集定員増はどこ?」というテーマです。
東京都の中3生の推移
都立高校や公立高校の募集人員は、公立中学校に在籍をする生徒の増減に合わせて調整がなされます。
税金を使って運営されている公立学校では、公立中学校卒業予定見込み数を念頭に適切な募集人員を設定しないと、余計に税金を使ってしまったり、私立高校の進学者を減らして私立高校の運営に影響を与えたりすることがあるためです。
東京都の公立中学校の生徒数推移を確認してみましょう。
学校基本調査の数値を拾ってみます。
東京都の公立中生数の推移
年度 | 1学年 | 2学年 | 3学年 | 3年生 前年増減数 | 3年生 前年増減率 |
---|---|---|---|---|---|
平成30年度 | 71,808 | 74,719 | 76,349 | - | - |
令和元年度 | 75,331 | 72,176 | 75,223 | -1,126 | 98.5% |
令和2年度 | 76,667 | 75,713 | 72,736 | -2,487 | 96.7% |
令和3年度 | 76,917 | 76,924 | 76,158 | +3,422 | 104.7% |
令和4年度 | 76,485 | 77,132 | 77,276 | +1,118 | 101.5% |
上記の通り、令和3年度から中3生が増加に転じ、令和4年度の中3生は直近5年間で最高数値になっています。
これは、東京都内への人口流入が背景です。全国でも人口が増える自治体は限られており、首都圏の人口集中に伴う生徒増と考えてよいでしょう。
ちなみに、2023年度の中3生(現在の中2生)ですが、例年、中2生が中3に上がる際に0.5%程度の生徒増がありますので、およそ77,500名弱くらいになるのではないかと予想できます。
今年の中3生よりも200~300名程度増加するということになると思います。
ちなみに東京都の出生率は1.20と全国でも最も少ないレベルになっているため、子どもがたくさん生まれているというよりも、他の地域からの人口を吸い取っていると考えるべきです。
地方都市の人からすれば、ずるいとか羨ましいとかといった少し複雑な感情を持たれるかもしれませんね。
都立高校募集人員の変更
上記のような状況を受けて、都立高校の2023年度入学者選抜の募集人員が10月20日に東京都教育委員会より発表されました。
1.全日制課程募集概要
全体概要は以下の通りです。
区分 | 令和4年度 | 令和5年度 | 増減 | 備考 |
---|---|---|---|---|
学校数 | 168校 | 167校 | -1校 | 募集停止 1校 |
学級数 | 1,033学級 | 1,049学級 | +16学級 | 学級増 20校20学級 学級減 2校2学級 募集停止に伴う学級減 1校2学級 |
募集人員 | 40,390人 | 41,030人 | +640人 |
2.学級増となる20校の内訳
学級増となるのは以下の20校です。
No. | 学校名 | 学科名 | 令和4年度 | 令和5年度 | 増加 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 三田 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
2 | 向丘 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
3 | 日本橋 | 普通科 | 6学級 | 7学級 | 1学級 |
4 | 本所 | 普通科 | 6学級 | 7学級 | 1学級 |
5 | 東 | 普通科 | 6学級 | 7学級 | 1学級 |
6 | 駒場 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
7 | 松原 | 普通科 | 5学級 | 6学級 | 1学級 |
8 | 豊島 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
9 | 竹台 | 普通科 | 6学級 | 7学級 | 1学級 |
10 | 板橋 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
11 | 井草 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
12 | 石神井 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
13 | 淵江 | 普通科 | 6学級 | 7学級 | 1学級 |
14 | 江戸川 | 普通科 | 8学級 | 9学級 | 1学級 |
15 | 紅葉川 | 普通科 | 6学級 | 7学級 | 1学級 |
16 | 富士森 | 普通科 | 7学級 | 9学級 | 1学級 |
17 | 松が谷 | 普通科 | 6学級 | 7学級 | 1学級 |
18 | 神代 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
19 | 日野 | 普通科 | 8学級 | 9学級 | 1学級 |
20 | 清瀬 | 普通科 | 7学級 | 8学級 | 1学級 |
2022年度入試で女子の倍率が2倍を超えていた、神代・井草・向丘・三田・東といった学校が40名の募集増を行います。
人気校を志望する受験生にとっては朗報だと思います。
3.学級減となる2校の内訳
No. | 学校名 | 学科名 | 令和4年度 | 令和5年度 | 減少 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 竹早 | 普通科 | 7学級 | 6学級 | 1学級 |
2 | 広尾 | 普通科 | 6学級 | 5学級 | 1学級 |
竹早と広尾は学校施設の状況等により1学級減少と発表されています。
広尾は2022年度春の女子の一般入試倍率は2.47倍と高倍率だったため、さらに厳しい入試になる可能性があります。
4.募集停止となる1校
募集停止は、併設型中高一貫校だった白鷗高校です。2学級の募集を停止します。
これにより、白鷗高校も中高一貫生のみの学校になります。
2022年度の高校募集は一般入試で30名の募集に60名程度が集まり約2倍になっていました。
募集定員動向を見て出願校を調整すべき
このように、中学校3年生の数は全体で1.5%程度増えているのですが、全ての学校の定員を1.5%ずつ増やすわけにはいかないので、結果的に20校20学級の増加と、3校4学級の減少で帳尻を合わせています。
受験生の立場としては、自分の志望している学校の倍率がこれによりどうなるかを考えて、そのまま受検校として志望をし続けるのか、再考すべきかを検討してよいと思います。
時期的にはこのタイミングがラストチャンスに近いので、前年並みに受験生が集まった場合でまずは検討してみるとよいと思います。
もちろん、志望校は倍率のみで決めるようなものではありません。
学校見学などの経て「どうしてもこの学校に行きたい!」と思っている場合は、学級増減の影響も考慮しつつ、合格するためにねじを巻きなおして勉強を頑張っていきましょう!
東京都に限らず、全国の公立高校は同じような仕組みで毎年の募集定員が微調整されます。学級増減によって倍率は少なからず影響を受けますので、その内容を把握しておくようにしましょう。
それだけで心の準備もかなり変わってきますよ!
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