古典が苦手な人を助ける「古典攻略」シリーズ。
第3弾では、「中学生が高校入試に向けて覚えておくべき古語」を取り上げます。
第2弾でも触れましたが、中学生の古典は音読が5割・重要古語が4割・係り結びの法則などの知識が1割程度のウェイトと考えましょう。
中学で覚えておくべき古語は50程度。英単語が1200程度あることを考えれば、超少ないです。
古典は、ある程度慣れてきたら、英語などと同じように単語の知識を増やして、正確に訳す練習をすると効果的だよ。
覚える単語の数は少ないので、覚えられるものから少しずつ覚えていけば、早めに入試対策ができるようになるよ。
古文で古語を覚えないといけない理由
皆さんは現代語の言葉が常に変化しているという感覚を持っていますか?
新しい言葉が日々生まれ、古い言葉を意味を変えたり使われなくなったりして行きます。
例えば、「とても」という言葉は今から100年くらい前までは、「とても〜ない」という形で使われるのが普通でしたが、今は「ない」を伴わずに「非常に」の意味で使われることが定着しました。
古典では、これを300年〜1000年の単位で積み重ねてきていますので、現代語とは意味や使い方が違っているものが多数あります。
テストでは、努力している人とそうでない人を得点差で表したいので、古語にまつわる設問が必ず出てきます。
覚えるべき古語
古語を特徴で分類しよう
①現代ではほぼ使われなくなってしまったもの
もっとも古語らしい古語。知識として持っていないと全く理解不能なので、覚えるしかない。
いらふ→答える
いと→とても
②現代語と古語で今が異なっているもの
もっともテストで差がつきやすいのがこれ。勉強していないと間違いやすいため、テストでも狙われやすい。
おどろく→はっと気づく。目を覚ます。
うつくし→かわいらしい
③古典で使用される助動詞
現代語にはない助動詞があり、高校生になるとこれがかなり受験生を苦しめます。
中学段階では、代表的なものをいくつかおぼえておけばよいでしょう。
なり→〜である(断定)
けり→〜だった(過去)
む(ん)→〜しよう(意志)、〜だろう(推量)
代表的な古語リスト
中学段階で覚えておくべき、代表的な古語16語だけ、リストにまとめました。
やや難しいものもありますが、例文をきちんと訳せるようにするだけで、相当古語の力がついていきます。
①現代語に(ほぼ)ない重要古語
覚えるべき古語 | 意味と例文 |
---|---|
いと | とても 例)雨など降るも、いとをかし。 訳)雨などが降るのも、とても趣深い。 |
いみじ | (程度がはなはだしい様子で)ひどく。とても。とてもすばらしい。 例)いみじきことなりかし。 訳)たいそうすばらしいことであったなぁ。 |
げに | 実に。まったく。 例)げにただ人にはあらざりけり。 訳)実にただの人ではなかったなぁ。 |
②現代と意味が異なっている古語(古今異義語)
覚えるべき古語 | 意味と例文 |
---|---|
あはれ(なり) | ①趣深い。しみじみとした感じがする。 ②ああ(感動詞として使う) 例)からすのねどころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへ、あはれなり。 訳)からすが寝るところへ行くといって、三羽四羽、二羽三羽などと急いで飛んでいく姿も、趣深い。 |
をかし | 趣深い。かわいい。心引かれる。 例)五月ばかりに山里にありく、いとをかし。 訳) 陰暦五月ごろに山里を歩くのは、とても趣深い。 |
うつくし | かわいらしい 例)うつくしきもの。瓜に書きたるちごの顔。 訳)かわいらしいもの。瓜に書いた子供の顔。 |
めでたし | 美しい。愛すべきだ。すばらしい。(語感としてはWonderfulに近い) 例)藤の花はしなひ長く、色濃く咲きたる、いとめでたし。 訳)藤の花は長くしだれて、色濃く咲いているものが、たいそうすばらしい。 |
ののしる | 大騒ぎをする 例)何事にかあらん、ことごとくののしりて… 訳)何事かあったのだろうか、大げさに騒いで… |
~かたし | ~するのが難しい。(いろいろな単語の下につく) 例)年ごろよくくらべつる人々なむ別れがたく思ひて… 訳)数年来の親しかった人々が、別れにくく思って… |
ありがたし | めったにない。めずらしい 例)さ候へばこそ、世にありがたき物にははべりけれ。 訳)そうでございますからこそ、世にも珍しいものでございます。 |
めづらし | 目新しい。すばらしい。 例)めづらしといふべきものにはあらねど、文こそなほめでたきものには。 訳)目新しいというほどのものではないが、手紙はやはりすばらしいものだ。 |
をこがまし | みっともない 例)いかにをこがましく思ひつらむ。 訳)どんなにみっともないとおもったのだろう。 |
③古典で使われる助動詞
覚えるべき古語 | 意味と例文 |
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~む(ん) | ①~しよう(意志)②~だろう(推量)③~ような(婉曲) ※古文の『ん』はすべて『む』が変化したものと覚えておく。 例)雨降らざらん。 訳)雨は降らないだろう。 |
~たり | ①~た(完了)②~ている(存続) 例)大臣(おとど)、あはれなる風景を眺めたり。 訳)大臣は、趣深い風景を眺めた。 |
~なり | ①~だ。~である。(断定) ②(地名などについて)~にある(存在) 例)いとをかしき姿なり。 例)たいそう趣深い姿である。 |
~けり | ①~た(過去をあらわす)②~だなぁ(詠嘆をあらわす) 例)待ちし桜もうつろひにけり 訳)待っていた桜も散ってしまったことだなあ |
以下に紹介する市販の本で学んでも良いですが、必ず文中で使われている例と合わせて学習してください。
単語だけを機械的に覚えてもあまり使える知識にはなりません。
例文の中でどう使われているかを見ながら古語の意味を頭に入れるようにしましょう。
今回は覚えることが多いので、時間のある時に何回か目を通して少しずつ知識を増やしていこう。
覚えた分だけ必ず結果が出やすくなっているはずだよ!!
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