【一緒に考えよう!】9月入学に移行は可能か

教育に関する政策
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まさお
まさお

4/28に宮城県の村井知事が知事会をまとめて9月入学への移行を提案するというニュースが出ていました。
今回のコロナ騒動で9月入学へ移行などできるのでしょうか?

今回は現在議論中の9月入学への移行について考えてみたいと思います。皆さんも自分だったらできると思うか考えてみてください。

9月入学移行検討のポイント

今回の学習の遅れによりへの対処としてはあり得る
入試が半年先になれば遅れは取り戻せる可能性大
なぜ4月入学なのかを考えるべき
会計年度との整合が必要。学校だけずらすのは難易度が高い

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村井知事の9月移行提案の背景

4/29の全国知事会で宮城県の村井知事が、現在も休校が継続している問題を取り上げて、「入学を9月に延期すべきだ」との提言を行いました。

“9月入学”検討を 宮城 村井知事が知事会で訴え 新型コロナ | NHKニュース
【NHK】宮城県の村井知事は全国知事会の緊急のWEB会議で、新型コロナウイルスの影響で臨時休校が続いている学校の入学や新学期の開始…

「延期」という言葉からも分かる通り、現在の学年の始まりを9月にして、4月から8月までを無かったことにしようという趣旨です。

これにより、9月から新たな学年と学習内容を余裕をもってスタートさせられるということになります。
学習の遅れも取り戻せるだろうということです。

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9月以降で解決できる問題

この提言の内容、ニュースでは表面的なことしかわかりませんが、そこから考えてみるに、以下の問題が解決できると思います。

① 学校ごとにまちまちになったカリキュラムの調整
② 入試時期や必要な資料が揃わないことへの対応

主にこの2つだと思います。

① はとても大事な問題で、今のオンライン授業は各自治体の教育への取り組み姿勢や財政的な強さがそのまま現れているように見えます。

アイデアの出せる人と導入費用が出せるところはオンライン授業が一気に進みますが、のんびりしていた自治体はこの事態にすぐに対応できていないと思います。

文部科学省はオンライン授業で何とか乗り切るようにという方針のようですが、ついていける現場とついていけない現場があるのが、現実だと思います。

入学や新学期開始を9月に遅らせることで乗り遅れた自治体もリカバリーが利くような対応となるということです。

②はこのままだとつけられないであろう1学期の内申点などについて、9月に新学期をスタートさせれば対応可能になるだろうという話です。

部活の大会などは難しいかもしれませんが、調査書に必要な学習の評価については十分対応できると思います。

まさお
まさお

9月スタート案は、現在の止まってしまった学習の時間を取り戻すためには一つの有効な選択肢であると言えます。
問題は終了を8月として良いのかということだと思いますが、今回はスタート時期の議論に終始していたようです。

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9月入学で解決しない問題

一方でこの提案は少し思慮が浅いのでないかという点もあります。

皆さんは9月入学で問題解決がされると思いますか?
ちょっと考えてみてください。

いくつか思慮が浅いと思われる点を挙げてみます。

9月以降に新型コロナ感染が再拡大したらどうなるのか

今回の提案は9月までにコロナウイルスの感染が終息していることが前提です。

もちろんそうであって欲しいのですが、コロナウイルスは北海道の事例にもある通り、下火になってもまた拡大基調に戻るような動きを見せます

仮に今回の緊急事態宣言がうまく機能して、6月末までにいったんの終息を見せたとしても(それも楽観的すぎるかもしれませんが…)、そのまま終了になるとは限りません。

9月以降にまた感染者が増え始めて、休校となった途端にこの案は破綻してしまいます。

そうなったら、さらに半年延期で、また4月入学に戻すことになるのかもしれません。
いずれにせよ、コロナと1年以上付き合わなければならないとすると、見通し範囲が少し近いように思います。

入試の手当てとしては不完全

来年1月以降に行われる入学試験については、試験範囲の学習が終わらないといった問題や推薦入試において、部活や定期テストが減ることによる資料不足の問題が起こっています。

試験範囲の学習がきちんと終わらない可能性については9月入学へ移行することである程度解決するかもしれません。

これもコロナ再拡大でやはり終わらないという可能性が残っていますが…。

一方で、中止となったインターハイなどは、10月ごろに開催可能なのでしょうか?

部活動の大会は急に学校再開で始められるものではありません。生徒も一度落ちた筋力を再度最高レベルに持っていくにはそれなりの時間が必要だと思います。

そうなると、暖かくなる5月ごろに大会をやらざるを得ないのではないかと思います。

入試は9月入学でしたら6月ごろにやることになるのでしょうから、部活と大会とは整合が取れなくなってしまいます。

会計年度との整合問題

多くの学校は国や地方自治体の税金を投入して運営されています。

そのため、会計年度との連動が必要で4月に新年度が始まるとしています。

さまざまな課題に全て決着をつけて9月入学に移行するには、予算上の問題点を洗い出して解決の道筋をつける必要があります

個人的にはきちんと準備をすれば乗り越えられない課題ではないと思いますが、利害関係者が多い政治的な問題なので、一筋縄ではいかないはずです。

この辺りの調整を無視して9月入学へ舵を切るのは少し見通しが甘いように思えます。
これ以外にも就職時期の問題など、企業活動にも影響を与えます。学校だけを取り出して決められるほど世の中は単純ではないのです。

9月入学を解決策の本命のように扱うのはかなり危険だと思います。
もう少し、現実的な妥協案を交えて議論をしないといけないと思います。

まさお
まさお

9月入学への移行はジャストアイデアとしてはとても良いのですが、準備期間がわずか4か月しかないことを考えると、今すぐ舵を切っても間に合わないと思います。

これ以外にもいろいろな知恵を絞って、学習を取り戻す準備をしていかないといけないと思います。

個人的には今の状況で9月以降は難しいと思います。

【おまけ】日本の大学はもともと9月入学だった

これは余談ですが、日本の大学はもともと9月入学でした。

1886年にスタートした東京帝国大学も当時は諸外国と合わせて9月入学だったのです。
ところが、1886年の徴兵令の改正により、徴兵対象者の届け出期日が9月1日から4月1日になったことを受けて、学校も4月1日入学に切り替えたといわれています。

9月入学のままにしておくと、優秀な学生を徴兵されてしまうという危機感があったようです。

同時期に国の会計年度もそれまでの「7月~翌6月」だったものを「4月~翌3月」に切り替えたこともあり、学費の多くを公費で賄っていた当時の師範学校が、入学時期を会計年度に合わせたことが始まりと言われています。

まさお
まさお

日本の学校が4月はじまりにこだわる理由はそれほどないと思います。きちんと準備をして9月入学にするならそれでよいと思いますが、今回の新型コロナウイルスとは別個のテーマとして議論する方が健全だと思います。

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