【国文法】助動詞② 形容詞型~ない・たい・らしい~

【国文法】助動詞② ~ない・たい・らしい~ 国文法
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まさお
まさお

助動詞の知識がどうしても頭に入らない

こんな悩みを多くの受験生からもらいます。そんな受験生のために、助動詞の知識を体系化して身に着けるべく、学習内容を整理しています。

今回は形容詞型の活用をする「ない」「たい」「らしい」の3つです。

「ない」「たい」「らしい」学習のポイント

◆「ない」
⇒意味は『打消し』のみ
⇒主に動詞の未然形につく。形容詞や形容動詞につく「ない」は助動詞ではないので注意!
◆「たい」
⇒意味は『希望』のみ
⇒主に動詞の連用形につく。
「らしい」
⇒意味は『推定』のみ
⇒終止形につく。「~らしい」という形容詞の語尾と同じなので注意が必要。

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助動詞「ない」

「ない」に関する問題は入試でも頻出の部類に入ります。

助動詞「ない」とそれ以外の品詞の「ない」が混ざって出ますので、知識の整理が必要です。

1.「ない」の活用

「ない」は「い」で終わっているので、「形容詞型」の活用をします。

基本形未然形連用形終止形連体形仮定形命令形意味接続
ないかろかっ
けれ打消し未然形
まさお
まさお

助動詞の活用表には「語幹」がありません。よって、形容詞の「かろ・かっ・く…」という活用パターンの上にそれぞれ「な」をつけて活用表を完成させます。

シンプルなので覚えやすいと思います。

2.「ない」の意味と接続

「ない」の意味は「打消し」のみですし、覚えるまでもなくわかっていると思います。
また、接続は「未然形」です。動詞の活用形を覚えるときにやりましたよね。
未然形の下につく、「ない・う・よう」の「ない」です。

(1)打消し
  ⇒彼は全くテレビを見ない

まさお
まさお

助動詞「ない」の関連する知識はとてもシンプルで覚えやすいものなので、ここでつまずくことはないと思います。

問題はこの後出てくる他の品詞との識別問題です。

3.「ない」の識別問題

助動詞「ない」は上記の通りシンプルなのですが、他の品詞と混ざると少し厄介です。どのようなケースがあるのか示しますので、全体像を把握しておきましょう。

「ない」の識別で問われるパターン

1.「~ない」という形容詞の一部(「ない」を取れない)
 ⇒グラウンドでバーベキューをしてはいけない。(「いけない」で一単語)
2.打消しの助動詞(「ない」の直前で「ネ」を入れて文節に区切れない)
 ⇒あの野球選手ははチャンスに出てきても打てない
3.形容詞(「ない」の直前で文節に区切れる)
 ⇒あのチームに優勝の可能性は全くない
4.形式形容詞(打ち消しの意味の形容詞)
 ⇒手抜きチームに勝っても全然うれしくない

この識別パターン、わかりますでしょうか?
1.は「いけない」の「ない」だけとって、「いける」にはできませんよね。つねに「いけない」で使うので、「行けない」という形容詞の一部ということになります。

2.は今回扱った助動詞のパターンです。助動詞は付属語ですから、文節の先頭に来られません。よって「ネ」を入れて文節に区切るときれいに判別できます。「打て」「ネ」「ない」とは言わないですよね。ちなみに「ズ」に置き換えられるという識別方法もあります。

3.は「在る(ある)」の反対の意味の「無い(ない)」です。「ネ」を入れて文節に区切ると「ない」だけで一文節を作っています。冷静に読めばすぐに助動詞とは違うことがわかると思います。前の言葉を打ち消していませんよね。

4.は注意です。働き的には助動詞「ない」と同様に前の言葉を打ち消しているのですが、品詞的には助動詞ではないのです。理由は、3.と同じで、直前に「ネ」を入れて文節に区切ると、区切れてしまうので、形容詞ということになります。

まさお
まさお

皆さんは、形容詞・形容動詞の活用表の勉強の際に、「ない」が連用形の後ろに続く言葉だったことを覚えていますか?
動詞の時は「未然形」のうしろに「ない」が続くとあったのに、なぜか形容詞・形容動詞では「連用形」の後ろに続くなんて、おかしいと思いませんでしたか?
理由がここではっきりしましたね。
動詞の下につく「ない」は打消しの助動詞ですが、形容詞・形容動詞の下につく「ない」は形容詞の「ない」(上記の4.のパターン)なのです。形容詞は用言ですから連用形の下につくということになります。

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助動詞「たい」

希望の助動詞「たい」は基本知識だけ覚えておけばOKです。あまり複雑な問題を作れないため、出題頻度も低いです。

1.「たい」の活用

「い」で終わりますので形容動詞型の活用になります。

基本形未然形連用形終止形連体形仮定形命令形意味接続
たいかろかっ
けれ希望連用形
2.「たい」の意味と接続

意味は一つだけ「希望」です。接続は「連用形」です。自分で例を考えてみればすぐにわかると思います。

(1)希望
 ⇒早く家に帰りたい
 ⇒醤油とんこつラーメンが食べたい

まさお
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「たい」は覚えることが少なく入試にも出にくいので、さっと流して次に進みましょう。

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助動詞「らしい」

「らしい」は「推定」の助動詞です。意味は一つで覚えやすいのですが、「~らしい」という形容詞があり、助動詞と形容し「~らしい」の識別問題がよく出ます。具体を確認していきましょう。

1.「らしい」の活用

「い」で終わりますので形容動詞型の活用になります。

基本形未然形連用形終止形連体形仮定形命令形意味接続
らしいらしかっ
らし
らしらしらしけれ推定終止形
まさお
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未然形がないのですが、あまり気にすることはありません。形容詞の活用パターンの上に「らし」をつければ活用はOKです。

2.「らしい」の意味と接続

「らしい」の意味は「推定」のみです。あとで別の助動詞の意味で「推量」というのが出て来ますが、使い分けが必要ですので注意してください。「らしい」は「推定」。最後が「い」でそろっていると言イメージをしておくと忘れにくくなると思います。

また、接続は「終止形」です。「らしい」の直前の単語の活用形を聞かれる場合がありますが、その場合は自信をもって「終止形」と答えるようにしましょう。

(1)推定
  ⇒隣の家には誰もいないらしい

3.「らしい」の識別問題

助動詞「らしい」はとても分かりやすいのですが、日本語の中には少し紛らわしいものがありますので、併せて整理をしておきましょう。

特に「~らしい」という形容詞があるので注意が必要です。「めずらしい」などが代表例ですが、少し見分けにくいものもありますので、以下のパターンを知っておきましょう。

「らしい」の識別で問われるパターン

1.推定の助動詞上に「どうやら」を補えるもの
 ⇒隣の部屋は、留守らしい
  ※「どうやら留守らしい」と「どうやら」が補えるので助動詞。
2.「~らしい」という形容詞の一部上に「いかにも」などの副詞が補えるもの
 ⇒彼のようならしい人が好きだ。(「男らしい」で一つの形容詞)
  ※「いかにも男らしい」と「いかにも」が補えるので「男らしい」で形容詞

まさお
まさお

今回「ない」と「らしい」で識別パターンを取り上げました。問題集などを使って問題を解いてみるとこの識別パターンがいかに役立つかがわかると思います。

ぜひ確実に覚えるようにしてください。得点力アップは間違いないです。

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