【国文法直前対策】東京都立高校過去6年分の出題傾向と対策

都立高校国文法過去問題解説6年分国文法
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
入試直前対策として、国文法に絞って主要都県の過去問解説を行います。
今回は第1弾として「東京都立高校の国文法過去6年分」を取り上げます。
東京以外のエリアの人も参考になると思いますので、ぜひ確認してみてください!

東京都立高校国文法出題傾向

◆都立高校では国文法が出ないことも多い。
⇒平成28年から令和3年までの延べ10回分の過去問で国文法が出たのは5回のみ
⇒国文法が全くでないケースが半分ほどある
◆出題される年も修飾語に関する問題が多い
⇒直近5回のうち、修飾語に関する問題が3回と6割が修飾語関係の出題
修飾語以外は助詞に関する出題が多い
※係り受けと助詞の識別問題を中心に対策を進めると対応しやすい

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国文法の出題状況

2022年1月4日段階で東京都教育委員会のWebサイトに掲載されている過去問をもとに国文法の出題状況を見ると以下のようになります。
以下の表に出てくる「分割前期」とは、一般入試の一次募集と考えてください。「分割後期」が二次募集に当たります。多くの受験生は「分割前期」で受検していると考えましょう。

年度・区分問題番号出題内容
令和3年・分割前期大問5問5修飾語が修飾する言葉
出題ミスで全員得点になっている
令和3年・分割後期大問5問4助詞「ばかり」の識別
令和2年・分割前期出題なし
令和2年・分割後期出題なし
平成31年・分割前期出題なし
平成31年・分割後期大問5問3助詞「で」の識別
平成30年・分割前期大問5問1修飾・被修飾の関係
平成30年・分割後期出題なし
平成29年・分割前期出題なし
平成28年・分割前期大問5問4修飾語が修飾する言葉

上記の通り、過去10回分の入試問題で国文法が出たのは半分の5回です。
出題内容は、修飾語に関する問題と助詞の識別問題のみです。
出題される場合は必ず大問5で出されます。

そろそろ別の問題が出てもよい時期ですが、去年の問題は出題ミスで解答が複数考えられるため全員に得点となっています。
作問担当者の考え方次第ですが、もう1回修飾に関する問題を出す可能性もありますね…。

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過去問5回分の解説

実際の過去5回分の問題とその解答について解説します。取り組みやすいように一部問題の表記の仕方を改変しているのでご注意ください。

令和3年分割前期(修飾語)

大問5問5

「あなたはかならずやこの先の世の中で歌の名人でいらっしゃるに違いない上に、このように子弟の約束をされたので申すのです。」の「かならずや」が直接かかるのは、次のうちのどれか。

 名人で
 いらっしゃるに
 違いない
 申すのです

修飾語「かならずや」がどの言葉を修飾しているか(かかっているか)を問うた問題です。

修飾語がどの言葉に係るかを見分けるポイント

「修飾語」は他の言葉の意味を詳しく説明する働きをする言葉(文節)です
特徴として、修飾語より後ろの言葉しか修飾できないということを覚えておきましょう。

この場合、「かならずや」がどの言葉に対して、「間違いなくそうなっているはずだ」という「かならずや」の意味を付け加えているかをかんがえましょう。
候補は、「いらっしゃるに」か「違いない」のどちらかになりますね。

「きっとそうなっていらっしゃる」、もしくは「きっとそうに違いない」という意味で使っていることがわかります。
出題者は、「いらっしゃるに」を正解と想定していたようですが、「違いない」でもいいのではないかという異論が出たようで、結果全員に得点となっています。

正解はまたはが選べればOKということです。

まさお
まさお

きれいに答えが一つに決まらないという意味では悪問ですが、修飾の働きがどういうものが見えればまずは問題ないでしょう。

令和3年分割後期(助詞の識別)

大問5問4

梅の回数が多いというのは、中国から輸入されたばかりで奈良(なら)(ちょう)近辺で貴族のステイタス・シンボルのようにもてはやされたからでしょう。とあるが、「中国から輸入されたばかりで」の「ばかり」と同じ意味・用法のものを、次の――を付けた「ばかり」のうちから選べ。

 昨日買ったばかりの服を着て、友人たちと桜を見に出かける。
 林の奥へ進むと、聞こえるのは(せみ)の鳴き声ばかりになった。
 この山路をあと一キロばかり歩けば、紅葉の名所に到着する。
 真っ白な雪景色に、子供たちは飛び上がらんばかりに喜んだ。

副助詞「ばかり」の識別問題です。

「ばかり」の識別

「ばかり」の識別では、「ばかり」を他の言葉に言い換えて判定をするのが手っ取り早いです。
この場合は「輸入されたばかり」ということで、「~されてすぐ」という意味の「ばかり」と考えます。

選択肢のア~エの中から「~されてすぐ」の意味の「ばかり」を探せばよいので、すぐにわかりますね。正解はになります。

ちなみに、イは「~だけ」、ウは「~ほど」、エは「~くらい」という意味です。
これは比較的易しいのですぐに応えられたのではないでしょうか?

まさお
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詳細は以下の記事からも確認できます!

平成31年分割後期(助詞の識別)

大問5問3

一字の違いで意味がガラリと変わるでしょう。とあるが、「一字の違いで」の「で」と同じ意味・用法のものを、次の各文の――を付けた「で」のうちから選べ。

 高原に吹く風は、さわやか心地よい。
 木陰のベンチ、親しい友人と語り合う。
 気に入った詩を、何度も読ん味わう。
 久しぶりの雨、乾いた大地が潤う。

入試頻出の「で」の識別です。助詞以外にも様々な品詞が選択肢に入ってくるので注意が必要です。

「で」の識別

この問題で問われている「で」は、「~のために」と言い換えられる、原因を表す格助詞です。
選択肢のア~エの中で「~のために」という意味を持っているのは1つだけですね。
正解はになります。

ちなみに、
アは「さわやかで」という形容動詞の一部(「とても」が上に補える)
イは名詞+「で」で格助詞。意味は文の意味から「場所」を表しています。
ウは動詞+「で」で接続助詞。動詞の下につく「で」は接続助詞と覚えておきましょう。
エは名詞+「で」でイと同じ格助詞。ただし、「~のために」という原因を表しているのでこれが正解となります。

まさお
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詳細は以下の記事からも確認できます!

平成30年分割前期(修飾語)

大問5問1

文中の――を付けたの修飾語のうち、被修飾語との関係が他と異なるものを一つ選び、記号で答えよ

 かつて日本人は、まったく違う言葉を日常レベルで二つ持っていたのですから、よほど訓練が行き届いていたんだと 思います
 もし日本が漢字、漢文を取り入れていなければ、近代化はありえな かったと思うほどです。
 むしろ江戸より盛んな面もあった。
 ある意味では日本の漢詩の到達点というような感じもします。

修飾語と被修飾語の関係を見て、仲間外れを1つ見つける問題です。

修飾語と被修飾語の関係

修飾語と被修飾語の関係と言われてもピンとこないかもしれませんが、まずはそれぞれの修飾語がどの言葉を修飾しているか調べてみましょう。

 かつて持っていたのですから
⇒「かつて」は「以前」という意味でとらえて、「持っていた」に係ると判断する
 もし取り入れていなければ
⇒「もし」は「~ならば」とセットで使う、「呼応の副詞」
 むしろ盛んな
⇒「むしろ」は「どちらかと言えば」という意味で、「盛んな」または「あった」に係る
 ある意味では
⇒「ある」は直後の「意味では」に係る

アからエの修飾語の種類を考えてみると、ア~ウは連用修飾語(名詞以外を修飾)で、エは連体修飾語(「意味」という名詞を修飾)であるとわかります。
よって、正解はとなります。

まさお
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詳細は以下の記事からも確認できます!

平成28年分割前期(修飾語)

大問5問4

「この草子は、わたしの目に映り、またわたしの心に思うことを、よもや人が見ることはあるまいと思って、所在ない(さと)()まいの間に、書き集めてあるのだが、全く無意味なつまらぬことながら、人にとっては不都合な言い()ごしもしてしまいそうな箇所もいくつかあるので、うまく隠しておいたと思ったのに、気がついてみたら、心ならずも世間に()れてしまっていたのだった。」
この文中に「よもや」とあるが、この言葉が直接かかるのは、次のうちどれか。

 人が
 みることは
 あるまいと
 思って

呼応の副詞「よもや」が修飾している文節を選ぶ問題です。

「よもや」が修飾している言葉

「よもや」はうしろに「~まい」を取る呼応の副詞です。
「よもや~まい」もしくは「よもや~ないだろう」という表現が頭に思い浮かべば解答は出たも同然です。

正解は「まい」を含むとなります。

まさお
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詳細は以下の記事からも確認できます!

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