オンライン授業害悪説を斬る ~大学の対面授業5割未満問題~

教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
文部科学省は大学の授業がオンラインになったままでなかなか対面授業に戻らないことを問題視しているようです。
10/16の萩生田文部科学大臣の記者会見において、後期で対面授業の比率が5割未満の大学に対して授業実施状況を再調査し、大学名とともに公表するという発言がありました。
今回は「オンライン授業は害悪か」というテーマを取り上げます。

オンライン授業は害悪か

授業そのもののオンライン化に問題はない
⇒大学の授業のオンライン化はコロナ禍で文科省主導で展開された
授業内容そのものの質は低下していない
◆学生がキャンパスに行けないことに不満を感じていることとオンライン授業は別問題
⇒授業がなくてもキャンパスが開いていれば大学には行ける
◆対面授業がオンラインより優れているのは成績下位の学生の場合
学力の高い層はオンラインでも十分やっていけるし、満足度も高い
オンライン授業そのものを害悪のように扱うのは誤ったものの見方を広げる恐れがある

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10/16萩生田文部科学大臣の記者会見

萩生田大臣は記者会見でたびたび対面授業の重要性について訴えてきました。一方で大学の対面授業再開は小中高校に比べるとかなり遅く、いまだに半数以上の授業がオンラインという学校も多くあります。

そんな中、10/16の記者会で萩生田大臣は以下のような発言をしています。

(前略)
4つめは大学等における授業の実施状況の再調査についてです。文部科学省では、先月、各大学等における後期授業の実施方針に関する調査の結果を発表したところですが、同調査において対面授業の実施割合が低調であった大学等に対して、改めて、授業の実施状況等を把握するための調査を行うこととしました。今回の調査では、前回の調査において、対面授業の実施割合が全体の半分未満となる予定と回答した大学等(約380校)を対象に、大学等の名前を含めて結果を公表することを前提として、後期における実際の授業形態や、授業形態について学生が理解・納得しているのかなどを調査をし、現状を把握したいと考えております。
(後略)

https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00101.html

大学の全授業に占める対面授業の割合が低い(文部科学省の対面授業を増やせという指示に呼応していない)大学に対し、授業の実施状況を調査し大学名とともに公表するということです。

大学側にとっては「対面授業をやれという圧力」にしか見えないと思います。
ここで重要なことは、対面授業をやらないといけない理由については学生の満足度が低いというような説明で、実際の統計データが出るようなことはありませんでした。

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なぜ大学は対面授業を再開しないのか

小中高校が対面授業をほぼ全面的に再開しているのに対し、大学の対面授業が増えないのはなぜでしょうか?
いくつか理由が考えられます。

クラスター発生時の風評被害が大きすぎる

大学は全国から学生を集めているため、集団感染が起きた場合の影響範囲が地元密着の小中高とくらべてとても広くなる傾向があります。
3月末に京都産業大学でクラスターを発生させてしまったときも大学への誹謗中傷のみならず、学生個人へのバッシングも多くあり、大学や学生を守り切れないと思っている大学が多いのです。

学生に補助をしてまでPCを買わせて環境整備をした

4月の緊急事態宣言下においては、大学も遠隔授業をやるように文部科学省から指示が出ていました。困窮した学生には格安でPCが買えるように金銭的な補助などもしつつオンライン授業の環境を整えた大学も多かったのです。
それに対し、コロナがなくなったわけでもないのにオンライン授業を辞めるのは、合理的な理由がないと難しいというのもあります。せっかくオンライン授業ようにPCまで買ったのであれば、それをできるだけ使う機会を残しておくことも大事な視点です。

教える側もオンライン授業に慣れてきた

大学の先生も最初は戸惑いつつもオンライン授業に慣れてきたところがあります。オンライン授業では、スライドが全員によく見える位置で見せられることや配布プリントなどの事前準備がいらないこと、欠席しがちな学生も授業に参加しやすいなどの利点があり、教える側も一定の手ごたえを感じているところがあります。

まさお
まさお

大学がオンライン授業を続けるにはそれなりのメリットがあるからということです。大学側も安易に考えなしでオンライン授業を続けているわけではないということを最初に確認しておくべきですね。

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学生が大学に行きたいのは友達と遊びたいから!?

一方で大学生のインタビューなどをテレビなどで見ると、「大学入学後に一度も大学に行っていない」、「友達が全くできていない」といった話が多く出て来ます。
確かに学生にとっては、キャンパスライフをどう楽しく過ごすか、大学生活そのものに期待をして大学入学をしている側面もありますので、キャンパスライフを無視することはできません

一方で、それをオンライン授業を対面に戻すことと直結してしまうのは少し浅薄なように思います。大学の授業はあくまで授業なので、より効果的に学習内容を学生に定着できる手法があれば、対面型授業にこだわる必要はないはずです。

一方で、学生が大学に来て友だちと会いたいという話は別次元の問題として、授業とは異なるイベントを少人数で開催したり、一部のサークルについて条件付きで再開を認めるといったキャンパスライフを作っていくための工夫をすればよいと思います。

今回の文部科学省の対応は、一度オンラインで始めた授業を対面に戻さないのはけしからんというような論調に見えてしまいます。小中学校ならいざ知らず、大学の対応についてこのような小中学校と同様にレベルで対応を求めているとすると、文部科学省の判断も少し考えモノと言わざるを得ないでしょう。

まさお
まさお

大学は高等教育機関で、学習意欲の高い学生が集まるべき場所なので、その学生の学習をきちんと保証できるなら、オンライン授業で全く問題ないと思います。
無理やり対面に戻して、クラスターを発生させた場合も文科省は大学をたたくのでしょうから、大学は自己責任で自分の学校を守って行かないといけないということになりますね。

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