共通テストで検温しない背景とは? ~入試と感染予防~

大学入学共通テスト
スポンサーリンク
まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
ネット上で、共通テスト会場における「検温しないこと」をめぐっていろいろ議論がされているようです。当日入り口で検温をした方が安心かもしれませんが、もう少し背景を深掘りして判断した方がよいようです。
今回は「共通テストで検温しない背景」を取り上げたいと思います。

大学入学共通テストで検温をしない背景

大前提は受験生が自身の受験をより安全に実施するために以下の要請を守ること。
◆受験生への健康管理の要請
⇒試験日の7日前から自主検温を要請
⇒当日の検温で体温が37.5度以上ある場合は追試の申請を行うこと 等
◆試験場で検温をすることによる混乱の抑止
⇒体温計の精度がどの程度か。体外式は数値が低く出るものも多く実効性が未知数
体温計不調などがあった場合の対応などが難しい

スポンサーリンク

コロナの感染可能性と受験可否の判断のバランス

今回、ネット上で話題になっているのは、「共通テストの試験会場での検温禁止」というワードです。実際は「禁止」という強い言葉は表記上はありませんが、「検温はしないこと」という記述なので、実質検温禁止という解釈になると思います。
確かにこれまで色々な場所で入場時の検温を推奨してきたわけで、肝心な入試会場では検温しないというのは理解しがたい発信だと思います。

一方で、入場時に検温をしないからフリーで誰でも受験させるのかというと必ずしもそういうことではありません。

このブログでも11月23日以下の記事で、共通テスト受験上の留意点を解説しました。

大学入試センターは感染拡大を抑止するために受験生にいくつかの要請を行っています。
主なものは以下の通りです。

・試験7日前から「健康観察記録」を活用して自らの健康状態をチェックする
・試験2週間前から発熱・咳などの症状がある場合は医療機関を受診する
・試験当日に新型コロナ等の感染症で入院や自宅・宿泊施設で療養中の場合は追試へ。
・濃厚接触者は一定の条件を満たせば別室で受験可能
・試験当日は「健康状態チェックリスト」に基づき、受験可否を判断
・試験場ではマスクの持参(予備含む)・着用が義務付けられる  等

ポイントは、受験生自身が自分を感染リスクから守るために各種要請事項を守ったうえで受験に臨んでほしいということだと思います。
7日前から検温をして、試験当日37.5度の熱があった場合に、それを申告せずに黙って受験をしても、自身の点数も取りづらいでしょうし、感染拡大となった場合の心理的な負担等もあるでしょう。その意味で、自分できちんと判断をして追試に回ってほしいという表現になっています。

まさお
まさお

50万人を超える受験生が集まる大イベントですので、中には上記の要請を守らない受験生も出てくると思います。それをどのように対応するかは、難しい問題ですが、現状は受験生自身がある程度の常識を持って対応する前提で設計がなされています

スポンサーリンク

なぜ試験会場で検温をしないのか

とはいえ、試験会場で検温をした方が安心なのは確かです。なぜ、試験場での検温をわざわざ「禁止」とするのでしょうか?
以下のような背景があると思われます。

非接触型の検温による識別制度の問題

各会場に設置する非接触型体温計の検温精度の問題があります。
新型コロナウイルス対策会議の議論でも、新型コロナウイルスの罹患を熱の高低だけで判断できないという特性を指摘しています。自宅の検温で問題なかった受験生が試験場で突然37.5度以上と判定された場合、その受験生を一律で追試に回すという判断がしづらいということです。

37.5度以上の受験生が悪い体調を押してここで試験を受けるかというと、得点も下がる可能性があるので受験生の自己申告で一定の対応が可能という判断をしていると思います。

まさお
まさお

飲食店のように今日は体温が高くて入店できないから、来週また来ようというようなケースと、入学試験は分けて考えた方がよいと思います。追試が用意されているからと言って、追試への移行を乱発すべきかというと、ここは慎重な対応が求められるのではないかと思います。

試験場での体調不良者は医師が確認を行う

試験会場で体調が悪い場合は、「健康状態チェックリスト」に基づいて医師が症状を確認の上、追試験に回ってもらうかを判断することになっています。

試験監督が、試験会場で明らかに咳を何度もしているような受験生を見つけた場合は、積極的に医師に診てもらうなどの対応を取った方がよいと思いますが、「受験上の留意点」を読む限りはそのような動きは明記されておらず、あくまで受験生が申し出るという対応になっています。

検温実施がかえって密な空間を作ってしまう

これまでのコロナ感染者の感染経路への知見から、仮に感染者が受験者の中に紛れていてもマスクの着用や一定の距離を保った状況、消毒の励行が行われていれば感染拡大は広がりにくいということが分かってきています。

逆に、入り口での検温を行うことでかえって受験生動詞の距離を近づけてしまうことになりかねず、検温場所に感染リスクが生じてしまうという問題があります。

まさお
まさお

50万人を超える受験生を集める共通テスト会場では、試験場での検温自体が感染リスクを高めるという問題が生じます。ここが他のケースと大きく異なる部分だと思います。
私見ですが、飲食店やイベント会場の対外式体温計による検温は形骸化していると感じる面もあり、そこの検温だけで感染者をブロックできるかというとかなり難しいのではないかと思います。

スポンサーリンク

受験生自身の感染への意識を高める対応が重要

多くの受験生はこの時期に自分がコロナに感染することがどのような事態を招くか把握できていると思います。適切な対応を要請すれば普通の受験生はそれに沿った対応をすると考えてよいでしょう。

一方で、ここまで記述してきた対応が全受験生に周知されているかということの方が気になります。大学入試センターは「重要な連絡がある場合は、大学入試センターのホームページに掲載をするので確認するように」と言っていますが、全ての受験生がそれを見るように高校側への要請や受験票への記載、その他メディアを使って周知活動を徹底する必要があると思います。

受験票には重要事項の記載はあると思いますが、それ以外のメディアを使って正しい背景を周知しないと誤った解釈から不安をあおられることになりかねません
このご時世は正しい情報を適時に入手する力が重要になってきています。

まさお
まさお

感染リスクの管理は自己責任の要素も強くなってきています。それでも感染してしまうのが新型コロナなのでしょうから、試験場だけでなく試験場への経路も含めた全体の感染リスクを受験生が適切に管理することが重要です。
マスクの着用、リスクのあるところには近寄らない、自身の健康管理の徹底がまずはポイントになると思います。

コメント