こんにちは。まさおです。
文部科学省は有識者会議の提言を受けて、2021年度からデジタル教科書の利用制限(授業時間の2分の1以下)を撤廃するそうです。
一方で、12/23付の読売新聞では、デジタル教科書の利用に不安を感じる自治体が93%にも上るという記事を出していました。
今回は「デジタル教科書推進と現場の不安」というテーマを取り上げます。
文科省はデジタル教科書を推進したいが…
前述の通り、文部科学省は有識者会議の提言を受けてデジタル教科書の利用制限を2021年度から撤廃する方向で調整を続けています。
これまでの議論でも、デジタル教科書の無償化を目指すとか、デジタル教科書利用のための様々な方針を検討してきています。
一方で、このブログでもよく話題にしているのが、「デジタル教科書とは何か」という定義がそもそもあいまいだという点です。
紙の教科書をPDFデータにして、タブレット上に搭載すれば、形式的には「デジタル教科書」は出来上がりです。
ところが、実際はそこに解説動画やインタラクティブな統計グラフ、外部サイトへのリンクなど、様々なギミックが施されています。
そのギミックが教育上どれだけ有用なものかというのが、指導書などとともに整備されて初めて教科書のデジタル化と言えるのでしょうが、現時点ではその利用の仕方についてあいまいなままになっているようです。
自分は学校現場には入れないので、そこでどのような議論がされてるかは未知数ですが、デジタル教科書をこう使うとこういう子かが出るという話はとんと聞いたことがありません…(泣)
現場の不安はデジタル教科書の内容と関係ないことばかり
一方で、読売新聞の調査によると、学校現場はデジタル教科書に不安を感じているようです。
上記の記事の通り、不安の内容というのは、
第1位…視力の低下など健康面の影響(55市区)
第2位…家庭の通信環境の確保(47市区)
第3位…校内外の安定的な通信環境の確保
第3位…教員のICT(情報通信技術)指導力
という状況で、デジタル教科書の教材としての不安とは無関係なものばかりが不安のランキングに入っています。
デジタル教科書を1日中見続ければ確かに子どもの視力に良い影響は与えないと思います。30分の利用ごとに10分点度の休憩が必要という話は、過去に眼科の先生に相談に行った際に説明を受けたことがあります。
逆に、デジタル教科書だから1日中PCやタブレットの画面を見続けているので、みんな目が悪くなるかというとそういうことでもないようです。
通信環境の不安もデジタル教科書の定義が甘い証拠
不安要素の第2位に「家庭の通信環境の確保」というのが入っています。
デジタル教科書を利用する際には、自宅からWi-Fiなどに接続して、インターネット上にあるコンテンツをダウンロードする必要があるのでしょうか?
GIGAスクール構想と合わせて、デジタル教科書にどんな機能を搭載するかが決まってくれば、ネット上からダウンロードするコンテンツも決まってくると思います。
理想的には、多くのコンテンツはタブレットやPC上に保存されていて、ネットからのダウンロードは最小限にするというのが子どもの学習体験上は一番スムーズでしょう。
教材を開くたびにネットからのコンテンツをダウンロードしていては、学習のリズムを損ねてしまうし、子どもの旬な興味関心をうまくキャッチすることもままならないと思います。
その意味においても、早くデジタル教科書の定義や主要機能、それによって確信したい教育の在り方を示すことが重要です。
デジタル教科書に絡んでいる人はバリバリの技術系の方か、バリバリの教育系の方に偏っていることが多く、どっちも精通している人というのが本当に少ないです。両者のいいとこどりをできる人が本当のデジタル教科書の使い手になると思います。
現場の想いと文部科学省の想いがきちんと出会えるように両者の議論を進めてもらいたいと思います。
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