【規制より活用】学習端末によるいじめへの対処法

学習端末によるいじめへの対処法教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
「GIGAスクール構想」で、ほぼすべての小中学生に学習用の端末が配布されました。この端末を使ったいじめや中傷のトラブルが全国のあちこちで発生しています。
こちらにはどのような対処が有効なのでしょうか。自分もかつて学習用のiPadを生徒に使わせていました。その際の経験をもとに対処法について考えたいと思います。
今回のテーマは「学習端末によるいじめへの対処法」です。

学習端末の使わせ方

◆いじめやアダルトサイト閲覧を禁止しても意味がない
禁止を強調すればするほど意識が向いて逆効果になりがち
⇒制限アプリ等を入れても一部の生徒は制限突破を楽しんだり自慢したりするので絶対ではない
◆活用とリスクの共有が大事
⇒ナイフと同様、便利でもあり危険でもあることは必ず伝える
⇒誹謗や中傷は被害生徒からの通報制度の整備が重要
共有IDは使わず、誰の操作か追跡できるように設定

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読売新聞が自治体に端末利用トラブルを調査

11/7の読売新聞に、全国の自治体に学習端末を使ったトラブルの発生状況の調査結果が掲載されていました。

  • 小中を所管する46都道府県庁所在市・5政令市・東京23、の合計74の市区を調査
  • 14自治体が端末トラブルを把握
  • 新宿区・荒川区・豊島区・新潟市で5件のいじめを認知
  • アダルトサイト動画を児童が閲覧する事案も確認

総件数から言ったら少なく見えるかもしれませんが、これは「氷山の一角」の可能性もあり、実際は認知されていない多くの事案がこの下に隠れていると思われます。

大事なことは「学習端末を配布した以上、学習端末の夜トラブルは発生するもの」という前提で体制を作ることです。

まさお
まさお

教育関係者の特徴として、「子どもを信じたい」という思いが強くて制度設計が甘くなる傾向があります。子どもを信じること自体はとても良いことなのですが、広く世間で起こっているトラブルが自分の学校で起きたらどうする?といった視点で対応策を練っておくことは重要だと思います。

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基本姿勢は「規制より活用」

私もかつて、塾で学習用のiPadを生徒に配布をしていました。生徒の利用状況やトラブル事例を総括的に見て言えることは、「学習端末のトラブルを恐れて管理機能をガチガチに入れるのは、あまり得策ではない」ということです。

端末制限を入れ過ぎることによるデメリット
  • 生徒が端末を使わなくなる
  • 一部の生徒は規制を突破することに達成感を感じ、いたちごっこが始まる
  • 教師がどのような設定になっているか理解できなくなる
  • 管理コストが増大する

最低減の機能制限を入れることを止めはしませんが、世の中の機能制限用のアプリは特殊なブラウザを使わせたり、いかにも制限している感がでて、制限突破をしたい児童生徒を刺激します。

また、そもそも学習端末として使われているパソコンやタブレットは、ユーザーが自由に設定を変えたり自分が使いやすいようにカスタマイズできることをベースに設計をされているので、ある意味設計思想と逆行するような対応をすることになります。

さらにいうと、制限アプリを入れていれば安全という考え方自体が、ICTリテラシーという観点では極めて危険で、ICT利活用の能力を育てるという文科省の思想とも相反します。

手間はかかりますが、「リスクを正しく認識て、正しく恐れながら活用する」という、「交通教育」のようなスタンスが重要です。
交通事故を恐れて自転車に乗らないように指導するのか、信号や道路標識の意味や横断歩道横断時の注意事項をきちんと教えて守らせるようにするのか、といったレベルと同様に考えるべきです。

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いじめ対策の基本は通報制度とID管理

学習端末には常に危険が伴うという前提で、いじめ対策はどうあるべきでしょうか?

たとえば、学習端末以外の学校生活でいじめを抑止しようと思った場合、どのような対応を取るかということを考えてみるとよいと思います。

たとえば、とある児童のノートに「ばか」とか「死ね」といった落書きがされる事案を考えると、それを抑止するためにクラスの児童にペンを持たせないということはできないです。
ペンを持たせることは避けられないので、そのような事案があった場合に被害生徒から速やかに相談をもらい、安全にその児童を守ることが優先されます。

学習端末にこのような発想を当てはめると、以下のような要点が浮き彫りになります。

学習端末によるいじめ対策のツボ
  1. いじめは起こり得るという前提を児童生徒全員と共有する
    ⇒PCやタブレットを使う人の中には悪意ある人が存在することを認識させる
  2. 学校内でも学習端末を使ったいじめや中傷が存在することを知らせる
    ⇒陰湿で人としては許されないし、ロクな大人にならない最低なことだと教える
    ⇒それでも人間の本性としていじめをしたがる者がいるという事実も教える
  3. 万が一被害に遭った場合はすぐに先生に通報するように伝える
    ⇒身の安全は確保するのですぐに通報するように。遠慮してはいけないことを強調する
    加害生徒は程度によっては大きな問題になることも伝えておく
  4. 利用システムのIDは共有IDにせず、操作ログが残るようにする
    問題が起こったときに誰が何をしたかわかるようにしておく
    ⇒子どもたちにはネットでの行動は多くが記録されていることを伝える
  5. ソフトウェアによる最小限の規制は入れておく
    ⇒不作為を問われないことは重要
    ⇒一方で万能ではないことも認識しておく

ポイントは、学校内の話ではなく将来社会に出て日常生活でネットやSNSを使うときにも遭遇するであろう問題とつなげて考えておくことです。

SNS上での誹謗中傷なども大きな問題になっていますが、加害者が逮捕されたり侮辱罪の罰則強化の動きもあります。

学校内の端末を使ったいじめや中傷もそのような流れと将来的に繋がっていることを意識して、正しく伝えて「正しく恐れる」という姿勢を作ることが大事です。

まさお
まさお

学習端末は使用してナンボのものです。また、多くの生徒はいじめやアダルトサイト閲覧などに端末を使おうとしないので、一部の例外の生徒に合わせて利便性を犠牲にするのも得策ではありません。何か問題を起こせば起こした児童に責任が問われることも意識させたうえで、自由に使わせることが重要です。

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