読解における「攻略法」の功罪 ~塾が生徒の学力の芽を摘む~

読解力をつける
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
最近あまり見かけなくなりましたが、国語の読解問題における攻略法がはやった時期がありました。最近またネットで見かけるようになりましたので、読解力養成における攻略法について触れておこうと思いました。
今回のテーマは「国語の読解における『裏技』の功罪」についてです。

国語読解における攻略法

◆受験技術としての攻略法は確かに存在する
⇒選択肢の特定の表現から正答でないと見抜いたりすることは可能
目の前の1点を取るときには役に立たないこともない
◆生徒の長い人生を考えるとこのような攻略法を教えること自体が罪
攻略法の編み出し方を教えるならばよいが、攻略の結論だけ言うのは絶対によくない
⇒読解の攻略法は人生では全く役に立たない。

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国語読解(現代文)において攻略法は存在するか?

この手の議論は古くからされており、関連書籍も出されてかなり売れた時期もありました。今も売れているかは差だけではありませんが、攻略法自体は確かに存在すると思います。

具体的には
・「しかし」の後ろに改訂ある主張は重要だから必ずチェック
・選択肢に「絶対に」などと、必要以上に言い切るタイプのものがあれば正解ではない

などに代表されるようないわゆるTipsです。

日本語の特性上、上記のようなことは当然あり得ますし、入試問題で上記の考え方に沿って解答を出せばかなりの確率で正解にたどり着くはずです。

世の中にはこのあたりの情報を「価値のある情報」として、受験生にアピールするような教師がたくさんいて、実際にそれで合格した生徒が「この技はスゴイ!」などとレビューしたりします

1990年代ならともかく、今の時代でこれをアピールされたら子どもたちの将来は本当に暗くなってしまうなと思います。

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結論ではなく理由が大事な時代

国語の攻略法がなぜ子どもの将来を暗くするのか、少し考えてみたいと思います。

攻略法がもてはやされた時代とその背景

1960年から1970年代にかけては、大量生産、大量消費の時代で、物事をパターン化してマニュアル通り動くことが重要視されました。
学校の授業も専門科ではなく普通科教育が重視されてきました。この流れは当時の時代背景にはマッチをしていて、誰よりもマニュアルを正確に読んでその通りに行動できる、汎用性が求められていました。

そこにおいては、そのマニュアルになった背景や理由などはどうでもよく、結論として出されたパターンを速く正確に再現できることが重要視されたのです。
同じものを大量生産する時代ですからある意味当たり前のことです。

そんな中で1980年代後半の大学受験ブームにおいて、予備校講師を中心に「必殺技」と呼ばれる「攻略法」をひっさげた人気講師が台頭してきました。「AときたらBと対応する」というようなマニュアル的な処理でテストの問題を処理する方法はある意味わかりやすかったのです。
当時は団塊ジュニアの少し前の世代で上り調子だったこともあり、一気に攻略法が広まっていきました。

入試問題も重箱の隅をつつくような細部の知識を問うものが多く、暗記ができる人間に価値があるかのような入試問題でした。

まさお
まさお

こんな時代に攻略法が広まるのはまだわかるのですが、今はあまりお勧めしないです。これを使って点を取っても将来につながらないからです…。

今はその攻略法がなぜ成り立つかが言えることが重要

ところが、2000年を過ぎて、スマホの時代、ネット検索の時代になってくると、マニュアルに書かれている情報はどこからでも手に入れられるようになりました。

多くの知識を持っている人間の価値は次第に弱まり(なくなりはしないです。絶対に。)、検索リテラシーの高い人が重要視されるようになりました。

世の中は大学入試改革を筆頭に、「知識偏重」は良くない、これからは「思考力・判断力・表現力」の時代だといわれるようになりました。

今の時代は、「攻略法を知っている」ことではなく、「なぜその攻略法が成立するのかを説明できる」ことが重要なのです。

時代のスピードが速くなり、新しい情報が洪水のように押し寄せる時代では情報をどう使うかが求められます。その情報の価値を判断し、どう使うとどのようなメリットやデメリットがあるのかを見極められる人がこれからの時代では活躍できる人ということになるのだと思います。

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改めて読解問題の攻略法を功罪を考える

このような前提で、改めて「読解問題における攻略法」の功罪を考えてみましょう。

最初は「功」、つまり良い点です。

これは端的に「国語の得点が上がる可能性がある」ということだと思います。
国語が苦手な受験生は一定割合必ず存在しますし、成績がなかなか上がらないという人もいると思います。そのような人がわらをもつかむ思いですがるものとしては価値があると思います。

次に「罪」、つまり悪い点です。

これは「読解力は身につかない」ということが本質だと思います。本来国語はコミュニケーションの勉強が重要な柱なので、文章を通して作者・筆者のメッセージを受け取ろうという姿勢を育てたり、文章表現を通して自分の考えを伝える技能を身につけることが大事です。
これは、社会に出てもプレゼン資料や上司の指示など、何かから情報を読み取ったり相手に自分の真意を伝えたりする場面で非常に重要な要素です。

よって、国語の攻略法をその背景も理解せずに使うのはその人にとって超短期的な効果しか生まず、長い目では遠回りさせてしまうリスクを持っています。
企保的に歯攻略法に頼らずに得点できる力を身につけることが大事です。

仮に、もし攻略法をつかうなら、なぜその攻略法が成立するのかも一緒に理解して、納得した上で使うようにしましょう。


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