こんにちは。まさおです。
4/14、広島県立高校入試でコンパスを机上に置いていたことで受験無効になったというニュースが報じられました。この対応にはいろいろ批判的なコメントも寄せられています。自分も不適切な対応だと思いました。
今回は「試験監督の意味とは?」というテーマを取り上げます。
机上にコンパスを置いていた生徒が受験無効に
広島県立高校で2021年3月に行われた入試で机上にコンパスを置いていた生徒が、初日の試験終了後に受験が無効であるという連絡を受け、2日目の受験をしなかったというニュースが報じられました。
NHKでは以下のような報じ方をしています。
要点をまとめると
1.机上にコンパスを置いていた生徒が受験無効になった
2.数学の時間にコンパスを没収されたが、試験は継続受験していた
3.数学の前に実施された科目受検時にもコンパスを置いていたが指摘はされなかった
4.1日目の終了後の夜に自宅に連絡があり受験の向こうが伝えられた
ということのようです。
実施要項によれば、会場に持ち込めるのは「鉛筆・鉛筆削り・消しゴム」などでコンパスは持ち込みが認められていないそうで、試験監督はこのルールを適用して無効と判断したということです。
上記ルールを適用するなら、やはり1時間目に注意をしないといけないです。
数学の時間もコンパスを没収したのちも受験をさせておきながら夜になって無効を伝えるというのがいかにもちぐはぐな印象を与えています。
試験ルールの厳格運用にこだわるなら、1時間目の試験開始前にチェックをして片付けさせるというのが適切な対応だと思います。
おそらく試験終了後にいろいろ協議をして「無効にせざるを得ない」と後付けで結論を出したのだと思いますが、これがいろいろと話をややこしくしています…。
試験監督の役割とは?
自分は学習塾で試験監督を経験していましたが、入試本番と違い塾内の模擬試験などでは往々にして不正行為もあるものです。
試験監督とはどうあるべきかをずいぶん考えさせられたのですが、以下のように結論付けています。
試験監督の存在価値は抑止力にある
試験監督の役割は多岐にわたりますが、主に以下のような役割を持っています。
- 受験生の出欠確認
- 受験生が本人で間違いないかの確認
- 正しい問題用紙と解答用紙を配布
- 試験時間の管理(開始と終了を正しく実施)
- 試験会場の秩序の管理(静粛さ維持や他の受験生への迷惑行為抑止)
- カンニング等の不正行為の抑止
- 受験生と答案の正確な回収と管理
公正な試験開始と終了、試験中の秩序維持で受験生が最大限実力を発揮できるような環境を作ることが重要です。
不正行為はその摘発よりも、抑止効果を働かせることの方が重要です。
模擬試験は後フォローができなくもないのですが、入試本番は一発勝負でやり直しがききません。その意味でも監督の1つ1つの判断が受験生の合否を変えてしまうので、緊張感をもって臨む必要があります。
中学生の試験現場は教育の場でもある
試験監督のマインドとして、中学生は未熟で指導が必要な存在であるという前提が重要です。
子どもたちが試験場で不正と思われる行為をすることがありますが、そのほとんどは過失によるもので、生徒の理解不足に原因があります。
重要なことは、生徒に試験のルールとその背景を理解させることです。それがなければ不正行為の判断も正確にできなくなります。
今回の案件はまさにルール(入試要項)の無理解による過失に相当すると考えるのが妥当です。
「試験場で何度もアナウンスしたが正さなかったから不正なのである」という反論もあると思いますが、その場合は該当生徒個人に対して「コンパスを片付けないと不正とみなして受験無効にする」といったかがポイントです。最後通告に対して、それでも改善されなければこの対応は適切と言えるかもしれません。
企業でも、不正行為の処分をする際には、「戒告」「けん責」「諭旨解雇」「懲戒解雇」などと段階に応じた処分をしますが、受験無効は一足飛びに「懲戒解雇」にしたのに等しく、ある意味生徒をたたき切ったという見方もできます。
ポイントは繰り返しになりますが「コンパスを机上に置くことに悪意があったのか」「コンパスを机上に置くことで得点を不正に獲得できる状態になったのか」だと思います。
子どもは試験で不正をする場合、必ず理由がある
話は少しそれますが、試験現場で不正をする生徒を何名も見てきた経験から、不正をする生徒に教師はどう向き合うべきかということも書いておきたいと思います。
子どもたち本来はカンニングなんてしたくない
第1にカンニングをする生徒は、なんらかに「やむにやまれぬ事情」を持っていることが多かったです。多くは「テストでいい点を取らないとお母さんに叱られる」というものでした。
勉強の成果としてのテスト結果ではなく、いきなりテスト結果だけを求められているのです。
子どもは子どもなりにどうすればいい点を取れるかを考えるわけで、その結果誰かの答案を除いて自分の解答が正しいか確認をしたり、解答がどうしても書けない問題に対して誰かの答案の内容を書き写したりしているのです。
原因は子どもにあるでしょうか?
親のプレッシャーとそれに対する対処をきちんと教えてあげない周りの大人にあると思います。
不正行為の指摘は現場でやらなければならない
不正行為について、成績が出てきてから「あの時、隣の生徒の答案を除いていたよね」などとやる先生がたまにいるのですが、これは最悪の対応です。
カンニング行為の指摘は行為その瞬間にしないといけません。
方法は、生徒の机をコンコンとげんこつで軽くたたくなどでよく、声を出して他の受験生に分かるような方法は不適切です。
理由は、生徒自身も不正であるという自覚があることと、あとからその生徒になんでそんなことをしていたのかを聞き出せる関係性を気付くためです。
教師は常に生徒の味方であるべきです。
ある生徒が試験中に不正行為をした場合、その理由をきちんと聴き出してどう対処すべきかを指導すべきです。
教師が試験監督として試験に向き合う場合は教育者として向き合うというマインドを持ってほしいと思います。
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