【逆に問題?】小中学生の学力はコロナ禍でも影響がなかった

小中学生の学力はコロナ禍でも影響がなかった?教育に関する政策
スポンサーリンク
まさお
まさお

こんにちは。まさおです。

3/28、国立教育政策研究所は「全国学力・学習状況調査」の経年変化分析調査を発表しました。前回調査と比較して、コロナによる休校があったものの、学力にほとんど変化は確認されなかったと結論付けています。
今回は「全国学力・学習状況調査の経年調査とコロナ」を取り上げます。

全国学力・学習状況調査とコロナ

◆国立教育政策研究所が経年調査を発表
⇒平成28年度と令和3年度の調査結果を比較
国語は平成28年度と比較してほとんど変化が見られなかった
算数・数学は平成28年度時よりも若干向上の様子が見られる
※比較にはPIASなどで使われている項目反応理論(IRT)を用いている

スポンサーリンク

国立教育政策研究所の経年調査

3/28、国立教育政策研究所は全国学力・学習状況調査の経年調査結果を発表しました。

経年調査は、過去の全国学力・学習状況調査と直近の結果を比較し、学力がどのように変化をしているかを調査するもので、今回は平成28年度と令和3年度の5年間での差を比較しています。

今回の比較にはIRTを用いている

今回の比較では、初めて「項目飯能理論(IRT)」を使っています。

IRTとは、問題の特性と児童生徒の能力を分けて推定する統計理論。異なる時点、問題冊子、児童生徒集団等で実施した場合であっても、その結果を同一尺度上で相互に比較できる。PISAやTIMSS等の国際学力調査でも採用されている。
(本調査では、IRTモデルのうち、困難度と識別力から問題の特性を表現して学力を推定する2母数ロジスティックモデルを採用)

「経変変化分析調査」実施結果(概要)より引用

IRTとは上記の通り、異なる母集団や問題冊子、時点の調査を同一尺度上で比較できるという理論で、PISAやTIMSSで用いられている理論です。

今回のIRTを用いた分析精度がどの程度だったかは不明ですが、仮に有効に機能しているという前提で分析調査が公表されています。

まさお
まさお

IRTがきちんと使いこなせるようになると試験の在り方は大きく変わってくるのですが、問題文の作り方など作問者はIRTに耐えるだけの問題セットを作る必要があり、とても難しいようです。詳細はどこか別の記事でご紹介します。

コロナ禍の学力は前回と変化なし?

今回の調査では、平成28年度と令和3年度の調査を比較し、端的に以下のように結論付けています。

  • 国語については、小学校・中学校とも、学力スコア分布の状況は両年度間でほとんど変化は観察されず、国全体としてみれば、児童生徒の学力の低下や向上といった変化は認められなかった。
  • 算数・数学については、令和3年度の学力スコア分布は基準である平成28年度の学力スコア分布の右側に(全体的にみて学力スコアが高い方へ)若干移動していることが観察できる。これについては、国全体でみれば、算数・数学について若干学力が向上しているとも解釈しうるが、次回(令和6年度予定)以降の結果もあわせて分析することが必要
  • 中学校英語については、令和3年度が初めての調査であるため、経年の比較分析は次回実施

国語は変化なし、数学は若干上昇傾向、英語は比較データがないので次回以降実施ということです。

令和3年度(2021年度)は令和2年のコロナ禍で3カ月近い休校期間を経て大混乱した翌年の学力調査です。多くの学校が夏休みを短縮して、カリキュラムを詰めて何とか休校分を追いつかせたという経緯があった翌年の調査ということです。

つまり、3カ月程度休校しても学力には影響がなかったどころが数学は少し向上したかもしれないという結果なっているのです。

まさお
まさお

子供たちの立場では、休校の影響が出なくてほっとしたということなのでしょうが、教えている側は3カ月も休校しても影響がないとは、「これまでの指導は何だったのか?」と思わざるを得ませんね。

スポンサーリンク

コロナ禍の休校は学力に影響なし?

今回の結果は、子供の学力という観点では、コロナ禍の影響を受けずに済んでよかったという評価なのでしょうが、教員側の観点では3か月も影響して夏休み短縮などの突貫カリキュラムでも影響が出ないというある意味皮肉な結果ということもできるでしょう。

つまり、「これまでの授業は長い時間をかけている割に効率が悪く、もっと圧縮して授業をしても生徒の学力は十分ついて来ますよ」ということを示唆しています。

日本の子どもの学力をどの程度伸ばしていきたいのかという目標がないので何とも言えないのですが、仮に現在の学力水準の維持でよいのであれば、授業時数を1割程度減らしてその分学校を早く終わらせるとか、休みを増やすとか、学校行事に充てるとか、もっと有効な時間の使い方があるように思います。

ただでさえ、今回の学習指導要領は学習量が増えて授業時間が足りないと言っているわけなので、短時間で学力水準を維持する方法を抜本的に考えていくことは重要だと思います。

教科書をなめるように説明する授業というスタイルもひょっとしたら再考するタイミングなのかもしれません。

まさお
まさお

今回の結果はスタートラインにすぎないように思います。この結果が示唆する内容を有識者の皆さんがきちんととらえて、新しい学校の学習の在り方なども検討されるとよいと思います。

コメント