【入試廃止論】大学の授業オンライン化が入試を不要にする?

大学入試廃止論を考える教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
3/30の東洋経済ONLINEの記事に「『大学入試を廃止』今こそ本気で考えるべき理由」という記事が掲載されました。今の大学の改革が必ずしも国際競争力を強化しないという立場で書かれた記事です。
今回は「大学入試廃止論」を取り上げてみます。

大学入試廃止論

◆大学の授業をオンライン化すれば入試は不要になる
⇒選りすぐりの教員がオンラインで授業をすればキャンパスも不要になる
⇒キャンパスが不要になれば定員管理もなくなり入試も不要となる
教師は選りすぐりのエース級を備え、学費も劇的に下げられる
◆高等教育は専門性を磨くことが大事
⇒高校の普通教育とは一線を引いて、大学は専門性を磨く場にしないといけない
⇒そのためには普通教育の達成度を測る偏差値などは不要

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東洋経済の「大学入試廃止」論

3/30、東洋経済ONLINEに「『大学入試を廃止』今こそ本気で考えるべき理由」という記事が掲載されました。

今の高校の普通教育の到達度を試す入学試験制度では、世界に通用する人材は育てられないという趣旨の記事です。
著者は東京工業大学名誉教授の橋爪大三郎氏です。

記事は以下から

ポイントは以下の通りです。

  • 今必要なのはオンラインによる高等教育
    ⇒質も高く定員管理も不要。
    ⇒大学のキャンパスも不要になり大学入試も不要になる
    ⇒社会人の再教育の場としても有効
  • 入試が不要になれば高校は本来の教育に専念可能
    ⇒入試のための授業をしなくてよくなる
    ⇒塾・予備校も不要にあり、高校入試も廃止できる
  • 大学は専門性を磨く場になっていくべき
    ⇒高校までの普通教育とは一線を画すべき
    ⇒社会が必要とされる能力は偏差値では測れない
  • 企業は新卒一括採用を辞めるべき
    ⇒1人ひとりの詳しいデータがないから「出身大学」で評価されがち
    ⇒企業側も中途の即戦力採用に力を入れるべき

大学の役割がオンライン授業ですべて置き換われるかは疑問もありますが、主要な講義がすべてオンラインになるのは問題ないと思います。
それにより門戸を開放して、入試を廃止するというのは誰にとってもメリットがあるように思います。

まさお
まさお

デメリットがあるとしたら、学生の学力とオンライン講義のレベルのミスマッチでしょう。それを学生が自分で判断できる指標がそろえば、入試で入学者を選抜しなくても各レベルの専門講義を受講するために大学に入学するという方向には持っていけるかもしれませんね。
一方で、講義以外にディスカッションや研究などをどう進めるかも一緒に議論はすべきだと思います。うまくまとまれば、大学入学試験を廃止することも確かに可能かもしれません。
卒業できる学生は激減するかもしれませんが…。

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入試廃止は本当に可能か?

このような意見が出てくること自体は大変良いことで、もっと議論を尽くすべきだと思います。

個人的には、入試廃止論を実現するには、大学の数が多すぎたり、学部再編なども必要でしょうから、少し時間もかかると思います。

一方で、熱意あるリーダーが先導すればこの方向への転換も可能だとも思います。
あくまで私見ですが、具体的には以下のような検討が有効だと思います。

  1. 共通テストを基礎学力テスト化する
    ⇒入試を全廃せず、共通テストで基礎学力のスコアを受験生紐づける
    ⇒共通テストは年に2~3回はあり、複数回受験して最高点を本人の持ち点とする
    ⇒内容は基礎事項に絞り、大学の授業を理解できる最低限の知識や技能の確認の場とする
  2. 大学側は入学に必要な共通テストボーダーラインを公表する
    ⇒そのスコアを超えていれば、原則入学可能とする
    ⇒スコアによるボーダーライン設定により学力のアンマッチを防ぐ
  3. 大学はインプットのための授業をすべてオンライン化する
    ⇒映像配信による授業と理解度チェックテストでインプットを進める
    ⇒受講定員は設けず、希望者はすべて授業を受けられるようにする
  4. 必要単位をオンライン授業で集めた学生が研究室・ゼミに入れる
    ⇒研究室に入るには別途試験が必要とし、学費も別枠で設定する
    ⇒オンライン授業で一定の単位を集めた学生のみが研究室・ゼミに入れる
    ⇒研究室・ゼミは大学卒業の必修単位とはしない

現在の大学は、各大学の利権や経営状況を守るための制度設計になっています。大学入試を廃止しオンライン中心になると、大学の構造を根本から変えてしまうことになるので、相当大きな反発が予想されます。大幅な制度変更にはかなりの大ナタを振るえる強いリーダーが必要になると思います。

まさお
まさお

日本の学生の国際競争力は間違いなく低下しているので、本当に日本の教育水準を引き上げようとするなら世界の潮流にも目を向けつつ、過去にとらわれない高等教育環境の再構築が必要だと思います。
その中で現在の入試制度がもたらしている負の要素(試験当日の主観的な学力のみで受験生を切り分けることなど)を断ち切れるなら、それは素晴らしいことだと思います。
高等教育の現場に影響力のある方が本気で取り組まれることを期待します。

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