こんにちは。まさおです。
新型コロナウイルスかで、オンラインの授業が進められるよう、文部科学省はGIGAスクール構想を進めています。渋谷区などはすでに1人1台の端末配備を完了しており、多くの自治体は年内をめどに端末の配布を完了するべく努力をしているようです。
今回は「1人1台の端末をどう使っていくのか?」を取り上げます。
GIGAスクール構想の危うさ
文部科学省のGIGAスクール構想は、ICTリテラシーが低いといわれる日本の児童や生徒にICTリテラシーをつけてもらい、国際競争力をアップしようという試みです。
文科省のホームページには全体概要として以下の資料が公開されています。
この資料の中に以下のような図が書かれています。
ここに記載されている、「1人1台端末」の環境で実現されること、たとえば、
・教師は授業中でも一人一人の反応を把握できる
・各人が同時に別々の内容を学習
・一人一人の考えをお互いにリアルタイム共有
どれも学習プロセスにおいて、実現されれば素晴らしいことなのですが、学習端末を入れれば本当に実現されることなのでしょうか?
端末を入れることはスタートラインで、端末を使って、「どうすれば一人一人の反応を把握できるのか」「どうすれば同時に別々の内容を学習できるのか」「どうすれば一人一人の考えをお互いにリアルタイム共有できるのか」を考えなければなりません。
各自治体や各学校でこれを真剣に考えている人がどれくらいいるかがポイントなのです。
4月の休校のタイミングでもオンライン授業を導入した自治体は約25%にとどまっており、75%のエリアは対応できずにフリーズした状態でした。
この「端末を入れるところまでは道筋を引いたから、後は各自治体で頑張ってほしい」という流れが大変危険だと思います。各自治体の取り組みを文部科学省がきちんとヒアリングをし、困っている自治体を助ける体制を構築して置かなればならないと思います。
GIGAスクール構想で重要なことは、先生の授業中のパフォーマンスがこれによってどう変わるのか、学校の先生がやりたかったけどできなかったことを1人1台端末が入ることでどう実現するのか、これを各先生が自身で考える体制を作っていくことが大変重要です。
本当に魅力的な授業とは何なのか
1人1台の端末が入ることで授業がどう変わっていくのかは大変興味深いことなのですが、その前段として、学校の先生(塾の先生も)が考える「魅力的な授業」とは何なのでしょうか。
そこが曖昧なままだと目指すものがぶれてしまい、端末を入れること自体が目的化してしまいます。先進的な自治体はそのあたりからきちんと考えているようです。
魅力的な授業とはどんな授業化を考えてみましょう。
まさおの考える魅力的な授業の条件
塾で指導をしてきた私が考える魅力的な授業の条件は以下の通りです。
① 1コマの授業の中に一つの驚きや発見、感動があること
⇒数学の図形の証明、英語の文法事項、漢字の成り立ち、どんな授業でも1コマに1回は「なるほど!」「そういうことか」という感動があるべきです。
② クラスの他のメンバーがどう感じているか、どう理解しているかを実感すること
⇒自分一人の作業ではなく、周りのクラスメイトはこの授業をどんな風に受け止め、どんな風に問題を解いているのか、それがわかることでモチベーションを引き上げる授業がよい授業と考えます。
③ (結果的に)これまで解けなかった問題が解けるようになること
⇒①②を経て、これまで解けなかった問題が解けるようになったと生徒本人が実感することができると継続的に学習に向き合うことが可能です。
重要なことは言うまでもなく授業準備です。授業の前日などに机に向かってやる授業準備ではなく、教師が日常生活の中で感じたことや気づいたことを授業内容にどう持ち込んでいくかがポイントだと考えます。
新聞の記事、テレビのお笑い芸人の逆、天気予報やニュース、様々な媒体の中に授業を魅力的にするヒントがちりばめられています。先生と呼ばれる人は常にアンテナを高く張って、生徒の半歩先に立って生徒を引っ張り上げることを考えていく必要があります。
魅力的な授業にICT機器を組み込んでいく
前項の魅力的な授業を考えていく中で、自分の授業の強みや面白さ、魅力を整理したら、それをICT機器を使うことでどう増幅できるかを考えるとよいでしょう。
たとえば、授業内でYouTubeの動画を使って教室の中だけでは得られない題材をもとに授業を行うとか、Google Mapを使って地理的な特徴をよりリアルに生徒に見せるとか、生徒が書いたノートや記述解答をみんなで見ながらそれぞれの解答の良いところを議論するとか、そういったことを手間暇をいとわずにやろうとする姿勢が重要です。
また、タブレットなどに各自治体が入れるアプリケーション(例えば、Microsoft Teamsやロイロノートスクール等々)を使って、どんな感動を演出したいかを先に設計することが大事です。
みんなの書いたノートを共有すること自体は、最初の1回こそ「お~!」となりますが、すぐに慣れます。むしろ、その共有ノートの中で普段は気づかないような生徒の良い点をどう拾い上げて褒めてあげるか、生徒の試行錯誤の過程をどうやってその生徒の自信につなげていけるかといった学習に向き合う姿勢を育てる側面が重要だと思います。
魅力的な授業のネタは先生の頭の中にきっとあるはずです。それとICT機器を結び付けるアイデアが出てくればGIGAスクール構想は早期に軌道に乗っていくと思います。一方で、これをやらされ仕事のようにとらえているとなると状況は厳しくなると思います。生徒によく言う「苦手から逃げない」を先生が実践する必要があると思います。
GIGAスクール構想維持のもう一つの視点
ICT機器を取り扱う仕事をしている立場として、もう一つ重要な視点があります。
それは機器のライフサイクルです。
PCにしてもタブレットにしても導入はスタートにすぎず、維持・管理・修理・破棄(交換)といったイベントが必ずついて回ります。
タブレットを小学生に持たせたら、一定の割合で画面を割ったり落として壊したりといった事象が発生してきます。
その際に弁償させるのか、保険で修理を無償でやってくれるのかといったポイントも無視できない重要な視点です。
特に、機器の交換は3年もたてばおそらく2倍くらい早いスペックの端末が世の中に出回っていることともいます。機器の交換一つとっても3年前と同じものは調達できない可能性が高く、それを見込んだ端末管理・交換のスキームを組んでおく必要があります。
多くの学校にはどこかの業者が代理店的に入っていると思いますが、その方々の知恵を拝借して、スムーズに機器交換ができる体制を整えておくことが重要です。
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