国語の指導をしていると選択問題は得意だが、記述は全くダメとか、ムリとか言う生徒に多く出会います。
多くの場合は、解答の作り方の作法を知らないだけで、記述する力がないわけではありません。
皆さんも、記述問題の解答の作り方を知りたくないですか?
今回は記述問題、とくに30字〜100字程度の問題への解答プロセスを取り上げたいと思います。
記述問題と選択問題、どっちが解きやすい?
マーク模試は得意なのに記述模試は全然ダメという人もいると思いますが、その逆でマーク模試は全然ダメで記述模試は得意という生徒にも、数多く出会ってきました。
この差はどうして生まれるのでしょうか?
選択問題と記述問題には以下のような違いがあります。
・選択問題…出題者の作った表現に乗っかって適切な解答を選ぶ
⇒出題者の意図に乗れれば楽だが、罠にもはまりやすい
・記述問題…解答の文そのものを自分で作成する
⇒解答作成は面倒だが、出題者の罠がほとんどない
つまり、出題者によって道筋を決められているのが選択問題、通る道に少し幅があって自由度が高いのが記述問題ということになります。
記述が得意で選択が苦手という人は、この「出題者の作成した選択肢の道筋に乗る」のがあまりうまくないということなのです。
解答プロセスの第一歩は「問題文をよく読む」こと
言うまでもないことですが、記述問題は、選択問題と違い解答文をすべて自分で作らないといけません。
その際に一番大事なのは、「問題文の正確な解釈」です。
記号問題は選択肢を読んでいく中で問題文の誤解に気づけることがあります。たとえば、「不適切なものを選べ」という問題を「適切なものを選べ」と勘違いしている場合、選択肢を1つに絞り込めないはずです。そこで「何かおかしい」となって、間違いに気づきます。
ところが、記述問題は誤解したまま解答を書いてしまう可能性があり、その場合、ほぼ100%得点になりません。
よって、問題文の解釈には細心の注意を払う必要があります。
上記のような問題であれば、「自分に言い聞かせている理由」を50字以内で答えればよいとなりますね。解答の文末は「~から」や「~ので」になることもわかります。
問題文を理解したら、本文中から必要な情報を集める
問題文の意味を理解したら、下線部やその前後を中心に必要な情報を集めます。簡単な問題の場合は下線部の前後にヒントがあることが多いです。
難しい問題になると、下線部の内容が離れた別の場所にあったり、下線部とは別の表現に言い換えられていたりするので、注意が必要です。
解答の核になる中心内容をぼんやり決める
記述問題が解答できるようになるかならないかの境目はここにあります。
記述解答の中心にどんな内容を据えるべきかを本文中から集めた情報をもとに決めます。
その際に細部まで決めたり、字数に合わせたりする必要はなく、まずは「こんな内容を書けばよいのだ」というレベルで方向性を決めます。
一言で、「この人が嫌いだから」とか「物をもらってうれしかったから」といった簡単な内容で構いません。
ここが決まれば何らかの解答は書けるようになります。
解答の中心例 ⇒ 自分の過去の経験と重なっているから
上記の問題例では、言い聞かせた理由を本文の前後の文脈から「過去の経験と関連付けている」という風に決めました(本文がないので参考までに見てください)。
このように字数を度外視して、解答に入れるべき要点を決めることが重要です。
与えられた字数条件から解答内容を具体化する
解答の中心内容を決めたら、条件の確認を行います。
この問題例では50字以内という字数指定があります。一般的に記述問題の解答目安として、30字毎に解答の中心が一つ入るくらいペースで考えていきます。
この問題例では、50字指定となっているので、「〇〇〇で、自分の過去と重ね合わせている」というように、解答の中心を肉付けして50字に近づけるという感覚でとらえる必要があります。
目の前の少年の行動を見て、自分の過去の似たような経験を思い出し、自分と重ね合わせていたから。(46字)
上記のような考え方で、部分点などが来るようになるはずです。
最終的には記述問題は練習量がある程度必要ですが、解答の中心を決めてをそれを肉付けするという手法をとるだけで、最初の一歩は踏み出せるはずです。
コメント