こんにちは。まさおです。
5/27、文部科学省で「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議(第11回)」が開かれました。その中で今後展開予定のデジタル教科書のあり方についての報告書案が示されました。導入効果の検証方法の確立が急務です。
今回のテーマは「デジタル教科書の導入効果とは?」です。
デジタル教科書のあり方に関する報告書案
5/27に実施された文部科学省の「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議(第11回)」では、第一次報告書案が提示されています。
https://www.mext.go.jp/content/20210526-mxt_kyokasyo1-000015324_2.pdf
この中で、デジタル教科書利用に対して期待される効果や教師の指導力向上の方策、紙かデジタルかといった二項対立の議論ではいけないといった内容が報告されています。
デジタル教科書の機能としては、例として以下のようなものの実装を求めています。
- ピンチイン・ピンチアウトによる拡大・縮小表示機能
- 図やグラフや挿絵のポップアップ等
- ペンやマーカー、付箋機能等による、フリーハンド又はキー操作による簡易な書き込み・消去
- 書き込んだ内容の保存・表示
- 機械音声の読み上げや、読み上げ速度の調整、読み上げている箇所のハイライト表示
- リフロー画面への切り替えによるレイアウトの変更
- 背景色・文字色の変更・反転、明るさ等の調整
- 文字のサイズ・フォント・行間の変更
- ルビ振り
紙の教科書の固定的な表示に対して、デジタル教科書が文字の大きさをはじめとして様々な表示へのウが可能なことを大きなメリットとしています。
自分の経験としては、機能の多いものは使いこなしが難しく、実装された機能のほんの一部しか使われないことが多いと感じます。その意味では機能実装以上にユーザーインターフェースの統一が非常に重要だと思います。
上記機能例から、本当に必要な使用頻度の高いもののみをシンプルなインターフェースで使えるように設計することが重要だと思います。
デジタル教科書の導入効果をどう定義するか
この報告書の中ではっきりしていないのが、デジタル教科書の導入によって何がどう変わると成功とするかという定義です。
おそらくそのような定義自体は不毛であるというような考え方が根底にあるようにも感じますが、定量指標を持たないとずるずると惰性の利用が続き、どこかで費用の無駄遣いではないかという人が出てくるのが必定だと思います。
・デジタル教科書を導入する
↓
・児童生徒の学習に対する興味関心が増す
・児童生徒の思考プロセスや解答過程の共有機会が増える
↓
それよってどんな効果が期待できる?
上記赤字の高架部分を具体的にカウントできる指標で定義した方がよいでしょう。
たとえば、
・調べ学習における検索回数が増える
・従来の授業に比べて発表回数や解答プロセス提出数が増える
・自分の解答を自信を持って書ける児童生徒数が増える
・試験における記述問題の無答率が下がる
・宿題の提出率が上がる
自分がちょっと考えても上記のような数値の変化を取ることが有効ではないかと感じます。
このような定義をきちんとした上で、定点的な観測を続けることでデジタル教科書の普及とその効果の関係が浮き彫りになってくると思います。
デジタル教科書のもう一つのテーマは充電環境
デジタル教科書の普及と合わせてもう一つ気になるのが電池問題です。
自分がかつて経験したタブレット学習でのボトルネックは電池切れに対する対処でした。
iPadのように一度充電すれば10時間も使える端末であれば、1日の授業中に電池切れを起こす子どもはそれほどでないかもしれませんが、満充電で5時間程度しか使えない端末の場合は1日の学習の中で電池切れを起こす生徒が一定数出ると思います。
学校の電源環境はデジタル教科書利用には向いていないように思います。
総務省の別の報告書でも電源工事に必要性には言及しているようですが、耐震補強された床に電源コンセントを増設するのは難儀なようです。
電子機器を一斉導入するというのは大きなパラダイムシフトで設備投資も莫大です。学校の無線LAN環境を増強したにもかかわらずオンライン授業を一斉にやると回線が細くて難しいといった事象も起こっており、俯瞰した全体設計をどう行うかがポイントになってきます。
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