【何を検証?】英語のデジタル教科書、来年度小中に無償提供

デジタル教科書全小中学校に無償提供学習方法・学習ツール
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まさお
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こんにちは。まさおです。
文部科学省は、2022年度全国の約4割の国公私立小中学校で使用しているデジタル教科書実証事業を全校に拡大することを決めました。今年度の補正予算に35億円を計上し、英語のデジタル教科書を無償提供します。
今回のテーマは「英語のデジタル教科書、小中全校に無償提供」です。

提供だけでなく、どう使うかの議論が重要だと思います。

22年度英語のデジタル教科書無償提供

◆2022年度全国の国公立小中に英語を無償提供
対象は小学校5・6年生と、中1~中3の全生徒
紙とデジタルの役割分担の検証と、クラウド配信の可用性の検証等を行う
◆英語以外の一部の教科も無償提供
⇒「算数・数学、理科」の組み合わせと「音楽、図工、家庭、保健体育」の組み合わせを設定
⇒2024年度の本格導入のための方向性を見出したい

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22年度はデジタル教科書を全校で利用

文部科学省は、現在、全国の約15,000校で利用中のデジタル教科書を、次年度全校に拡大するべく補正予算35億円を計上しました。

ニーズの高い英語を小学校5・6年生と中学校1~3年生の全生徒に無償配布します。

また、英語以外の教科書についても、教育委員会の要望に応じて、「算数・数学」「理科」「音楽」「図画工作」「家庭」「保健体育」なども利用できるようにします。

これにより2024年度に本格導入を目指し、活用方法や学習効果を検証していきます。

まさお
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文部科学省は予算措置により、デジタル教科書を無償配布しとにかく使っている状況を作ってしまおうとしています。これにより、おのずと問題点や対応すべき課題を明らかになり、対応を進めるうちに本格展開する準備が整うというストーリーを意識しているのだと思います。

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今回の無償提供で何を検証するのか?

2022年度デジタル教科書実証事業を全国の小中学校に拡大することで、何を検証しようとしているのでしょうか?

目的意識が曖昧なまま配布だけしても、電子黒板の時と同じように実際はほとんど使われないという問題になりかねないので、明確な検証項目と各学校からのレポート提出などの立て付けが重要だと思います。

検証すべきポイントを文科省の資料と合わせて確認していきましょう。

文部科学省の検証項目

文部科学省は今年の実証事件15,000校での実施を前に、以下のような資料で52億円の予算を概算要求で出しています。

  1. デジタル教科書の普及促進
  2. デジタル教科書のクラウド配信に対する可用性検証
  3. デジタル教科書利用による学習効果検証

提供された学校側は上記3項目について検証をする必要があります。

学校側が意識すべきこと

学校側は上記の項目を踏まえて、以下の対応が必要です。

授業時の紙とデジタルの教科書使い分け

文科省の打ち出し方はデジタル教科書の配布に力点が置かれていますが、教育現場はデジタル教科書に偏ることなく学習指導を続ける必要があります

その際にポイントとなるのは、紙の教科書利用が有効な場面とデジタル教科書の利用が有効な場面に対して、仮説を持って実際の授業を行い、教師と児童生徒双方の所感をまとめるということです。

デジタル教科書のメリットは、音声や動画を使った指導の深化が入り口だと思われます。英語ならば従来のリスニングCDや基本ダイアログの音読に関連付けて、デジタル教科書を利用するのが一例になると思います。

また、上記を家庭学習と関連付けて、自宅でも音声を使った学習ができるようにするといった工夫で英語への興味や4技能の内、特にリスニングやスピーキング学習の厚みを増すような指導が望ましいと思います。

Wi-Fi環境の可用性検証

今回、文部科学省が全校に拡大した背景の一つに、全国の小中学校のWi-Fi環境と1人1台端末が実用上問題なく稼働するかを検証したいということがあります。

教育ICTとして学習端末を全国に先駆けて導入した武雄市などでは、全員がデジタルコンテンツをダウンロードするのに数時間かかり授業が成立しなかったという事例がありました。

現在展開されている、GIGAスクール構想では端末配布もさることながらその端末にコンテンツを共有するWi-Fi環境の構築も大きなポイントになっています。

全国小中学校で一斉にデジタル教科書を使用することでWi-Fi環境の問題点が明らかになり、それを解決するための措置が行われれば、2024年の全面導入に向けた素地が出来上がってくるということになります。

学習効果の検証は簡単にはできない

文部科学省が最後に掲げている「学習効果の検証」は簡単にはできないと思います。

全国学力調査のスコアが上がるなど目に見えた結果が出ればよいのですが、全国一斉導入してしまうとABテストにならず比較ができませんから、スコア比較は難しいということになると思います。

一方で、生徒アンケートなどの定性的な評価で「学習への意欲が増した」とか、「学習時間が増えた」といった評価は可能だと思いますので、まずは学習への取り組み姿勢の変化を学習効果としてまとめることが得策のように思います。

まさお
まさお

世間では使ったお金とそれに対するリターンを求められるのですが、教育の効果というのは短期的に見られるものは少なく、10年~20年のスパンで追跡調査するという視点も必要だと思います。その意味では文部科学省の検証事業はもう少し踏み込んだ検証を行う必要があるのではないかと思います。

いずれにせよ、次年度のデジタル教科書拡大は歓迎すべき動きだと思いますが、学校の先生の負担はどんどん増していくので、働き方改革とセットでケアする必要があると思います。

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