こんにちは。まさおです。
内閣府が行った子供の生活状況調査の分析資料によると、貧困層の子供の進学希望が「中学・高校まで」の層が比較的生活が安定している層の4倍に上ることが判明しています。
就学支援等の施策がまだまだ実効的ではないということだと思います。
今回のテーマは「貧困層の進学支援はどうあるべきか」というテーマです。
貧困と進学の強い相関
令和3年12月に内閣府が「子供の生活状況調査農分析 報告書」を公表しました。
こちらの内容を見ると、貧困層の子供の厳しい実態がはっきりわかります。
貧困世帯の実態
各家庭の世帯収入を世帯を構成する人数の平方根で割ったものを「等価世帯収入」というそうです。
等価世帯収入による分類結果は以下の通りです。
分類 | 等価世帯収入 | 4人家族年収換算 | 割合 |
---|---|---|---|
中央値以上 | 317.54万円以上 | 635.08万円以上 | 50.2% |
中央値の2分の1以上 中央値未満 | 158.77万円以上 317.54万円未満 | 317.54万円以上 635.08万円未満 | 36.9% |
中央値の2分の1未満 | 158.77万円未満 | 317.54万円未満 | 12.9% |
調査の詳細は内閣府の資料を見てもらいたいのですが、簡単にまとめると家族4人で世帯年収317.54万円未満の世帯が全体の12.9%存在しているということです。
ちなみに等価世帯収入158.77万円を母子家庭(構成人数2名)で年収換算すると224.53万円となり、1カ月の収入は19万円弱ということになります。
今の非正規雇用の実態を考えると、中央値の2分の1未満に当たる世界が今後さらに増えてしまうのではないかと危惧します。この水準であれば生活保護を受けられるレベルだと思いますが、その水準だと進学についてどう考えることになるか、進学希望との関係を見ていきましょう。
世帯収入と進学希望
上記の「等価世帯収入」の分類と進学希望の関係は以下のような状況となっています。
分類 | 件数 | 中学まで | 高校まで | 短大・高専・ 専門学校まで | 大学または それ以上 |
---|---|---|---|---|---|
中央値以上 | 1,311 | 0.3% | 7.8% | 15.9% | 67.2% |
中央値の2分の1以上 中央値未満 | 962 | 0.6% | 20.8% | 24.3% | 36.5% |
中央値の2分の1未満 | 336 | 0.9% | 37.5% | 22.0% | 25.9% |
上記のグラフの「高校まで」を見ると世帯年収との相関がはっきり出ています。
中央値以上で7.8%だった「高校まで」の進学希望者が中央値の2分の1では37.5%と4.8倍にまで跳ね上がっています。
世帯年収が低いと大学進学をあきらめざるを得ないという実態が端的に明らかになったということです。
ここまでの差になっているとは自分も想像してはおらず、かなり衝撃を受けています。
現在の大学進学率は高校生の約55%ですが、その大半は収入格差によって切り分けられていたということです。
世帯収入と授業の理解
もう一つ、生体収入の分類と学校の授業理解度の関係も見てみましょう。
分類 | 件数 | いつも わかる | だいたい わかる | 教科によって わからない ことがある | わからない ことが多い | ほとんど わからない | 不明・ 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
中央値以上 | 1,318 | 13.4% | 41.7% | 37.4% | 6.0% | 1.3% | 0.2% |
中央値の2分の1以上 中央値未満 | 967 | 7.7% | 28.9% | 50.9% | 8.7% | 3.7% | 0.2% |
中央値の2分の1未満 | 338 | 5.0% | 23.1% | 47.6% | 17.8% | 6.2% | 0.3% |
中央値以上では「いつもわかる」「だいたいわかる」の合計が57.1%となっており、中央値の2分の1未満の2.03倍となっています。
逆に中央値の2分の1未満の「わからないことが多い」「ほとんどわからない」の合計は24.0%で、中央値以上の7.3%の3.28倍となっています。
授業の理解は、学校外学習との関係で整理するのが正しいと思います。つまり、塾や通信教育などの学校外の学習で学校の授業が補完されれば、学校の授業の理解度は増すはずなので個々の対応もまだまだ足りないということだと思われます。
学校の土曜教室や放課後教室で貧困層の学習フォローを自治体単位で進めていく必要があると思います。
経済格差を進学に結び付けない施策を
この調査では、経済格差がそのまま授業の理解や進学希望の直結しているところが多い(すべてではないですが)ということが明らかになりました。
社会保障制度の充実や就学支援制度の充実もう当然必要だと思いますが、まずは現状の就学支援制度をもっと多くの方に早期に知ってもらう必要があると思います。
受験学年になる前に、進路とお金の関係を保護者にも生徒にもきちんと説明をして、一生懸命勉強することで、経済環境も変えられるチャンスがあるということを知ってもらう必要があると思います。
財源の問題や公平性の問題など、様々な課題があるとは思いつつも、このままでは貧困家庭にいる優秀な子供たちの能力を引き出せない社会になってしまいます。
国家としても損失ですし、その子供自身の人生にとっても大きな損失だと思います。
この問題はどうしても国の施策に依存してしまうところがあって、一個人では何とも手のくだしようがない歯がゆさがあります。
ただ、このまま放置していい問題ではないので、様々な場面で情報発信を続けていきたいと思います。
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