休校期間が長引くなか、学校に行かない子供たちがセンター街でたむろしているとか、ゲーセンに行ったら意味ないだろ!と言うような意見が世の中に流れています。
休校中に外出することは本当に問題なのか、問題だとすると何が問題なのか、少し掘り下げて考えてみたいと思います。
なぜ全国一律休校なのか
今回、全国の一斉休校がなぜ突然発表されたのでしょうか?
全国に広がりを見せつつある新型コロナウイルスへの対応として、まずは小中高生へ感染者を出さないことが重要だと考えたと言うのは間違いないでしょう。
一方で、それまでの政府の対応(特にクルーズ船における感染拡大)が後手に回っており、自治体に丸投げであることなどへの批判から、強烈なリーダーシップを印象付けるような大きな発表が必要だったと言う見方もできます。
本当に全ての都道府県の小中高を例外なく休校にするような要請の出し方でよかったのかは、疑問も残る部分があると思います。
子供の権利という問題
世界では子供の権利というものがとても大事にされています。
1989年11月に国連で採択された「子供の権利条約」がベースになっていますが、子供が健康で自分らしく育つ権利が全ての子供にはあるという考え方です。
今回の休校対応は、「休校」という対応のみが発表され、それによって制限されるさまざまな問題、例えば肉体的な健康面の問題や、長期間屋内に居続けることによる精神的な健康の問題などには言及していませんでした。
そのため、学校を取り上げられた子供は自宅でじっと過ごすことを余儀なくされ、結果的に暇を持て余して外出するという状況に陥っています。
子供を大事に守り、日本の未来を託していこうという思いがある中で、「とにかく家にいろ」というような方針は良いやり方ではありません。
子供の権利を制限し、物のように扱っているようにも見えてしまいます。
食事や運動、学習など様々な面への影響を考慮しての方針展開でないと施策自体が支持されなくなってしまいます。
今回で言えば、休校措置を発表する同時にそれによって失われる部分への配慮や対応をどのように見せるかが一緒に必要だったのだと思います。
休校時に子供が外出することの是非
「悪法も法なり」という言葉がありますが、今回全国一斉休校時に外出することはよくないことなのでしょうか?
日本の中高生は本来そこそこ分別があるはずなのですが、大人が適切な情報を与えないことでミスリードしているところもあるように思います。
結論から言えば、「時と場所によって判断すべき」ということになると思います。
外出を控える最大の理由は「集団感染の抑止」にあります。特に若い人は感染しても症状がはっきり出ないままであることが多く、自覚のない感染者である若者が外出することで、体力的に弱い老人に感染させてしまうことを避けたいということでした。
それであれば、明らかに感染者がいないと思われる離島や人口密度の低いエリアにおいては、外出すれば良いし、近くに感染者が出たエリアがあって、集団でいることによる感染リスクがあると思えば外出を控えれば良いと言うことになります。
大切なことは、感染して終わりではなく、感染することでその後の生活に何らかの制限が加わると言ういうことを理解して、自らの行動を正しく判断する軸を一人ひとりに持ってもらうことです。
自らの判断で感染リスクを追ってでもセンター街でたむろしたければそうすれば良いでしょう。ただし、万が一感染があった場合に負うべき負担(家族への負担や周囲からの目など)も考慮して意思決定をすれば良いと言うことです。
そのためには、なぜ一斉休校なのか、なぜ家にいてほしいという要請をしているのかという背景説明をきちんと行わないければなりません。
その説明を理解したうえで判断の軸を作ることが大事だと思います。
自分の中に明確な判断軸を持ち、それが他者に理解の得られるものであれば、どんな判断も許容されるべきと思います。
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