こんにちは!暑い日が続いていますね。
高校入試では、都市圏を中心に各都道府県の教育委員会が公立高校入試において出題範囲の縮小を発表しています。
ところが、私立高校は独自の入試を行うため、学校ごとに出題範囲の取り扱いがまちまちなようです。
今回、宮城の私立高校19校が出題範囲縮小を発表しました。今回は「私立高校入試の出題範囲」を取り上げます。
私立高校入試の出題範囲の取り扱い
公立高校は教育委員会がまとめて入試問題を管理していますので、出題範囲の縮小が比較的進めやすいのですが、私立高校は各学校が独自に入試問題を作るため、対応が学校ごとに異なります。
各地域にはその自治体の私立高校をまとめる「私立中高協会」のような組織があるのですが、その組織がまとめて出題範囲の統一ができればわかりやすいです。
ところが、一口に私立高校と言っても難関進学校もあれば毎年の募集に四苦八苦している学校もあり、一律の対応を求めるのは難しいという状況もあるようです。
そんな中、宮城県の「宮城県私立中学高等学校連合会」は加盟19校の出題範囲を統一して縮小すると発表しました。
削除される範囲は以下の通りです。
教 科 | 出題範囲から除く内容 |
---|---|
社 会 | 〇公民的分野の「私たちと国際社会の諸課題」 |
数 学 | 中学3年生で学習する内容のうち次の内容 〇 標本調査 |
社 会 | 〇 第1分野「科学技術と人間」 〇 第2分野「自然と人間」 |
私学がまとまって出題範囲を縮小するというのは、各学校の協力体制があってのことで、合意に至るまでにはそれなりの苦労があったのではないかと思います。
公立・私立の試験範囲がそろうことの意義
私立高校の試験範囲が公立とそろうことにより、受験生の精神的な負担はかなり軽減されることとなります。
第1志望の公立高校向けにはこの範囲が出題され、併願する私立高校の出題範囲ではここまで出るとなると、生徒側も何をどうしてよいのかはっきりせず、結局広い方の試験範囲に合わせて勉強せざるを得なくなります。
それでは、わざわざ試験範囲を縮小した意味がなくなり、私立併願を考えない生徒との学習内容の差が広がって、かえって不公平感が増すということになります。
その意味では出題範囲を公私間で統一したことは大変意義があると思います。
最近の学校側の様子を見ていると、夏休み縮小で学習版にはほぼ追いついたという声も聞こえてきます。個人的にはそんなに簡単に追いつかないだろうとも思うのですが、本当に追いついているなら試験範囲の縮小は失敗だったといわざるを得ません。縮小によってかえって混乱を招いている部分の方が多いという評価になってしまいます。
入試制度上、試験範囲の議論が不要なケースも
一方で、私立高校の出題範囲を意識しなくてよいケースもあります。
たとえば、東京都の場合、私立高校入試において「併願優遇」という制度があり、その制度を使えばほぼ不合格になりません。
「併願優遇」制度の具体的な説明は以下のページを参照してください。
ここでのポイントは、中学校の先生が学校成績をもとに私立高校の先生を受験前の12月中旬に事前に相談を行い、事実上の優遇措置をそこで確定させてしまうことにあります。
極端な言い方をすると、当日の得点はどうでもよく(学校は絶対にそのような言い方はしませんが…)、事前相談のリストに載っているかどうかが合否を分けるということになります。
そうなると、試験当日の出題範囲がどうであろうが合否には影響がなくなりますね。
そのような背景から出題範囲を変えることに消極的な学校も多数あるということになります。
一方で難関私立高校などは、学校の授業の遅れなどものともせず、試験範囲の縮小など気にせずに得点をとれる子から合格にしたいという思惑があるでしょうから、試験範囲縮小は考えないはずです。そのような学校を目指す場合は、範囲の縮小などといったことにとらわれず、塾などを活用して全範囲をがっつり勉強していく必要があります。
私立高校の出題範囲は、その学校の入試制度とセットで考えた方がよいということです。当日の入試得点が合否のすべてというような学校はガチで試験範囲の学習が必要ですから、そのような学校を受験する場合は試験範囲のチェックとそれに応じた学習が必要です。
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