【年度内でも70%】端末配備が遅れている原因を考える

教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです!
9/11、文部科学省はGIGAスクール構想として、全国の小中学生にタブレットやPCなどの端末を配備する計画を進めていますが、各自治体の配備状況についての調査を発表しました。
8月末までに配備完了は2%、年度内完了でも70%という見込みになっています。
文科省は対応が遅いと言っていますが、それには理由があるのではないかと思います。今回は「端末配備の遅れの原因を考える」というテーマで教育現場の右往左往を取り上げます。

端末配備のスピード差の背景

自治体の首長のリーダーシップの差
予算措置に及び腰だとそもそも業者選定が進まない
設定内容を具体的に議論できる教育者の存在
⇒教育現場とICTの両方がわかる人材がいないと具体化が進まない
選定した業者によっては納期が遅れることも
⇒端末自体は品薄なので、委託先の調達力も必要

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文部科学省の資料による納入状況

最初に文部科学省が9/11に公表した資料を確認してみましょう。

https://www.mext.go.jp/content/20200911-mxt_jogai02-100003178_525.pdf

現時点で事業者の選定が終わっていないところが51%程度あり、12月までに97.4%の自治体が事業者の選定を終えるという回答になっています。
3月末までに納入を完了させる予定の自治体は全体の70.2%という状況です。
大都市では愛知・名古屋市などが2020年度内に配備を完了できない見込みです。

全体を俯瞰してみると、9月末までに事業者選定を終えれば何とか半年で配備完了まで持っていけそうというイメージだと思います。

逆に来年の3月までに事業者選定も終わらない自治体というのは、何か推進できない決定的な理由があるのかもしれませんね。

まさお
まさお

事業者の選定が進まないのは、その自治体が抱える固有の問題があると思います。また、事業者の選定が終わったとしてもその後の具体的な動きも実は検討事項が多く大変だと思います。

自分もかつて学習塾のiPad学習スキームを手掛けた経験があるので、このあたりの事情は多少なりとも想像ができますので、以下、背景を考えてみたいと思います。

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事業者選定は端末選定・利用アプリ選定とセットなので大変

最初に事業者選定について考えてみます。

学習端末を入れるのは意外と簡単と思っている人が多いと思います。たしかに、端末を買って入れるだけなら簡単なのですが、端末管理の仕組みやネットワーク設定、使用するアプリの選定などがセットで行われるため、一筋縄ではいかないのです。

以下は文部科学省が出しているキッティングの概要資料です。

上記の「テナントの取得」「IDの作成」「OSの更新」…としれっと書いてある一つ一つの項目を具体化していく相手先を決めるのですから、自治体側にある程度の展開イメージができていないと入札も簡単にできないということになります。

たとえば、Windowsのパソコン、iPad、Chromebookといった主要3機種の特徴を正しく理解していなければ、どの端末を選べばいいかも皆目見当がつきません
文科省の相談窓口がどこまでの対応をしてくれるかにもよりますが、各自治体に知見のある方が入っていないとちょっと難しいかもしれませんね。

たとえば、Windowsを選べばMicrosoftのEducation用アプリ群を使用することになります。主にはTeamsやPowerPoint、Intuneなどを利用することになると思います。
Chromebookとなれば、Google for Educationシリーズで、Google Classroomの利用になるかと思います。すでに学校にあるネットワークや教育ソフトの資産をどの程度使いたいのかによっても選択は変わってくると思います。

端末・アプリ・ネットワークと授業内での運用、生徒の学習体験をどのように変えていきたいのかといった一連の方向性がすべて整ってこないとちぐはぐな選定をしてしまうので、実は丁寧に時間をかけてやらないといけない工程だと思います。

まさお
まさお

ここに首長のリーダーシップと自治体内に教育とICTを共に理解している牽引役の存在が必要なのです。
首長の強いリーダーシップがある自治体は一定の結論を出して話を進めるので、導入が早いです。一方で、予算に余裕がなく首長が及び腰だとなかなか進まないという実態がありそうです

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運用体制の設計は意外と難しい

学習用端末の配備について、意外と厄介なのは、ID管理です。
毎年入学生と卒業生がいて、主に学期の変わり目に少数の転出入があると思います。すべての生徒にもれなくIDとパスワードを発行し、転出入などの都度、追加発行や削除などを行うのは、意外と骨が折れます。

ID発行だけでなく、自宅への持ち帰りの可否、端末を破損してしまった場合の修理手配修理中の代替端末、端末を紛失してしまった場合の対応ルール新規端末の手配など、利用者が子どもであるがゆえに、運用開始後も様々な問題が発生するはずです。

それ以外にも、OSのバージョンアップアプリのバージョンアップなどの対応、セキュリティ問題などが発生した場合の対応など、端末配布後の安定稼働を維持するための設計をきちんとやっていくh津用があります。

事業者選定というのは上記の対応内容の選定でもあるので、一部の自治体が決定しあぐねて導入が遅れてしまうというのは十分に考えられることと思います。
拙速にならず、かつ、コロナの状況を踏まえて早期の導入完了するべく、丁寧にかつ急いで実行されるように対応を進めていってほしいです。

まさお
まさお

とにかく大事なのは、ある程度の知見を持ち結論を出せる人材がいるかどうかということです。
自治体によっては何十億というお金が動くプロジェクトになりますので、無駄にならないように最大限の配慮をしたうえで決定ができる人が決めていく必要があります。

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