私立大学協会が共通テストへの意見書を提出 ~私大入試への影響~

大学入学共通テスト
スポンサーリンク
まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
日本私立大学協会が12月2日に同協会のホームページに、「大学入試センター「平成30年度告示高等学校学習指導要領に対応した大学入学共通テストの出題教科・科目について(検討中案)」に関する意見」という長いタイトルの文書を公表しました。

今回は「私立大学と共通テストの今後」について取り上げます。

日本私立大学協会の共通テストへの意見

◆「情報」の新設について
導入について異論はない
⇒採否については各私立大学の裁量に基づいて決定したい
◆出題科目のスリム化について
⇒現在の5教科30科目を21科目に減らすことは共通テスト存続の観点からやむを得ない
⇒激変緩和の観点から、現行の共通テストからの変更点は極力減らしてほしい
◆CBTの導入について
環境整備に種々の困難が予想されるので慎重に検討してほしい
CBT導入と受験環境整備は同時に進めなければならない

スポンサーリンク

日本私立大学協会の発表内容

以下のリンクから確認が可能です。

https://www.shidaikyo.or.jp/topics/201130%20.pdf

トップのまとめ欄にも書きましたが、おおむね共通テストの今後の変更については賛成の論調となっています。
ただし、CBT(Computer-Based Testing)の導入については、PCなどの機器の整備やネットワークの整備が必要なため、きちんと環境が整わないままCBTだけが先行しないように留意をしてほしい旨、表明されています。

スポンサーリンク

私立大学はこれからも共通テストを使うのか

上記の発表から、私立大学はこれからも共通テストを利用した入試を行っていく方向であることが読み取れます。
一方で、上記表明のトップに「はじめに」として記述されている内容が大変重要です。

私立大学における大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の利活用についても、これまでと同様にその採否や方法については各私立大学の裁量に委ねられるべきである

「大学入試センター「平成30年度告示高等学校学習指導要領に対応した大学入学共通テストの出題教科・科目について(検討中案)」に関する意見」より

つまり、「文部科学省や大学入試センター主導で、試験を改革していくのに反対はしないが、各私立大学の裁量で採択するかどうかは決めさせてもらうよ」というスタンスです。
共通テストの内容を見て、利用したい大学はその大学独自の判断で利用するし、利用しなくても問題の大学は利用せずに独自の入試を続けるということを言っています。

コロナ禍の現状においては、共通テストを利用することで一定内容の学力を正確に測ることができるのは、私立大学にとっても大変便利でしょうから、共通テストを使える環境を持っておきたいと考えているはずです。

当面共通テスト利用私大が激減するような事態は想定されていません。
一方で、共通テストで必須科目になった「情報」を私立大学が入試で課してくるかはまだ見えておりません。その時々の状況で判断させていただくということになってしまうと思います。

まさお
まさお

私大が共通テストを使うかといえば、かなりの数の大学が使い続けると考えるのが妥当なようです。その時々で、私立大学にとって一番使い勝手の良い方法で使われると思います。

スポンサーリンク

CBTの導入はたぶん無理…

CBTの導入については、日本私立大学協会もかなり慎重な様子でした。
特にPC環境については、新しい端末を共通テストのために調達するのかや、そこに接続するネットワーク環境は試験会場の設備を使用するのかなど、これから詰めないといけない問題が山積です。

環境に対する調査や配慮がないまま、CBT実施が先走って実施の告知をされてしまうと、過去の記述問題や民間英語試験導入と同じような末期をたどるような気がします。

大学入試センターはスピーキングの導入も難しいという話をしているわけですから、CBTとなるともっとハードルが高いです。
試験の公平性や機密性の担保、機材のトラブル対応、取得データの保全・管理の問題を考えると、専用の端末を用意して、受験データを一時的に端末保存しながら、ネットワーク帯域が空いている時間にサーバー側にデータを少しずつ送るような仕組みで整備しないと難しいでしょう。

また、50万人規模のテストであれば、数台は試験中にトラブルを起こす可能性があります。センター試験のリスニングでは毎年機材トラブルは数件しかないものの、受験生の操作の問題で再テストになっている受験生が100名以上出ています。同様の問題がもう少し大きい規模で出てくると思われます。

結論としては2025年度までにCBT化は到底難しく、現時点で周到に計画をして一定の予算を割いたとして2030年度までで実現できるかというレベルだと思います

コメント