こんにちは。まさおです。
2/21に実施された東京都立高校の問題で国語の出題内容に誤りがあったとの発表が東京都教育委員会よりありました。
今回は「都立高校の出題ミス」を取り上げます。
出題ミスとしては初歩的な内容
2/24、東京都教育委員会は都立高校入試で出題ミスがあったと発表しました。
教科は国語で大問5番の問5。分野で言うと国文法に当たる問題で冷静に見れば解答が2つあることに気づけるレベルだったと思います。
まずはミスの詳細を確認しましょう。以下のリンクからご覧ください。
「かならずや」が直接かかる文節を答える問題でした。
選択肢は
ア 名人で
イ いらっしゃるに
ウ 違いない
エ 申すのです
の4つ。
本文自体は著作権許諾申請中で東京都教育委員会の問題PDFにまだ掲載されていませんから詳細はわかりませんが、「かならずや」がかかる言葉が「イ いらっしゃるに」か「ウ 違いない」か「エ 申すのです」のどれかに特定できないということのようです。
作問者は自分の思い込みで解答が一つになると思ってしまう可能性はありますが、問題の校正や監査の段階で第三者が客観的な目で見れば解答が絞れないということに気づけるような初歩的なミスのように思います。
出題ミスは受検生の入試結果を大きく狂わせる
今回、東京都はこの出題ミスから受験した34,015名に対して、全員に一律5点を与えるという措置を取りました。
対応としてはこれしかないと思うのですが、試験現場で受験生が受けている影響はこれにとどまりません。
文法が苦手な生徒が全員救われ、得意な生徒は優位性を失う
他の記事でも過去に書いたことがありますが、出題ミスによる一律加点はその分野が苦手な生徒にとってはラッキーなのですが、その分野で他の受検生に差をつけようとしていた生徒にとっては大きなマイナスです。
今回の文法問題は比較的易しいタイプの問題でしたから影響は軽微でしょうが、正答率が30%にも満たないような問題で似たようなミスがあると、受検生の運命を変えてしまうほどの大きな差を生んでしまう可能性があります。
試験時間の使い方に影響を与える
もう一つの問題点は、試験時間の使い方に与える影響です。今回の問題は受検生自体も解答を絞るのに苦労したはずです。
受検生が合格点を積み重ねる際の重要な要素は「制限時間」をどう使うかという点にあります。
つまり、自分に手が出ないと思う問題は「捨て」、確実に得点できる問題を「拾う」という取捨選択が求められます。
今回の問題は、解答を絞るためにそれなりの時間を費やした可能性があり、かつ試験時間が余った場合の見直しにこの問題を当てた受験生も多かったのではないかと推測されます。
これで作文が時間内に書ききれなかったなどといった場合は本当に大きな影響を与えてしまうことになります。
1回しか流れない本番入試の時間の使い方に、出題ミス問題が絡むのはその受験生にとっては不幸です。「あの問題にめちゃくちゃ時間使ったのに、全員一律に加点とは…」と思っている受験生が少なからずいるのではないかということです。
作問者のレベルも重要だが監査体制がもっと重要
入試問題というのは秘匿性があり、教材作成のような監査体制が敷きづらいという問題があります。一方で誤った出題は多くの受検生の運命を狂わせる可能性があります。
重要なことは作問者のレベルを高く維持することと監査体制をしっかりさせることです。
テスト問題の作成は高い専門性が求められます。
東京都に限らず各自治体ががどのように問題を作っているかはわかりませんが、輪番制のような手法は絶対にやってはいけないと思います。
作問と監査を交代するのはありだと思いますが、経験のない人は監査の補佐あたりから関わらせて数年かけて育てていかないといけないと思います。
これから入試は「思考力・判断力・表現力」が標榜されまずます作問者に高い能力を求める時代に入っていきます。
少子化の流れは生徒だけでなく先生の方にも来ていますから、入試問題が作れる人というのを計画的に作っていく体制がないと入試制度の維持が難しくなっていくと思います。
コメント