こんにちは。まさおです。
2021年度の私大入試は志願者の増減がはっきり出た年でした。トップの近畿大学も志願者が1万人ほど減少しています。先日のアエラの記事で「立教大が”独り勝ち”」という記述がありましたが、志願者増が「勝ち」なのか考えてみたいと思います。
今回のテーマは「私大の志願者増は”勝ち”なのか」です。
志願者が多い方が”勝ち”という発想
Yahoo!ニュースでも出ていましたが、AERAdot.に以下のような記事が出ています。
見出しにもある通り、「志願者数は立教大学が”一人勝ち”」となっています。
志願者数で大学同士が競争しているかはいろいろ意見があると思いますが、志願者数がその大学の勢いを表す指標の一つであることは間違いないと思います。
・志願者が増えているということはその大学の支持者が増えていることを表す
・志願者が増えれば倍率が上がり、入学者の質も高まる
・受験料収入が増えれば経営的にもプラスになる(今年はコロナ対応があり例外化も)
今年はさらに大学入試改革の影響もありましたら、志願者の増減を背景から理解して評価をしないと、志願者増=”勝ち”という発想は少し短絡的になってしまうかもしれません。
特に民間英語試験の導入により試験時間が短くなった大学は、コロナによる感染リスクの軽減という別の効果となって志願者増を後押しした可能性があります。
主要私大の志願者増減状況とその評価
実際に主要大学がどれくらいの志願者増減となっているのでしょうか。
3/5の当ブログで引用した志願者一覧を再掲しておきます。
早稲田大学政治経済学部の志願者減は未来への投資
今回、様々なところで早稲田大の政経学部の志願者減が取りざたされました。これにより早稲田大学の総志願者数も10万人を割り込んだというような扱いです。
一方で、今回の早稲田政経の志願者減の背景は受験科目に数学I・Aが必修とされたことが大きいです。グローバル化が進む中で、海外では一般的に理系の学問とされる経済学を数学なしで受験できる日本の大学は、非常に危うい立ち位置だと思います。
早稲田大学はそのような流れや今後の統計的なデータ重視となるであろう世の中の変化に対応するには、数学を無視できないと判断したと考えるのが妥当でしょう。
逆にいつまでも文系科目だけで経済学部の入試を続けている大学は、将来的に苦しい立ち位置になる可能性があります。
今回の早稲田大学の志願者減は将来のための投資であると捉えるとよいと思います。
その大学の価値を何で測るかを定義するのは難しいところですが、卒業生の質が最大の財産なのだと思います。グローバル社会で活躍できる人材をいかに輩出し続けられるか、という観点で早稲田政経の数学必修化は大きな一歩だったと思います。
入試の利便性による志願者増は中長期的な価値は未知数
大学入試改革の影響で志願者が増えた大学もあります。
今回の記事で話題になっている立教大学は英語の独自試験を廃止したことで志願者が増えました。民間英語試験のスコアを持ち込めるようにして、試験当日の科目数や拘束時間を減らしたことが奏功しています。
大学側は4技能を入試当日のテストで測ることは難しいと今回の意義を語っています。
確かにそのような議論は真っ当で、合格者は一定の英語力のある人たちだと思います。
一方で異なる資格試験のスコアをそもそも換算できるのかといった問題点は依然としてあるため、数度の入試を経て改善される余地があるものとも思います。
また、5年後、10年後と視点ではこの変更自体が大学の価値向上にどの程度の効果があるかは未知数で適切な評価にはもう少し時間がかかると思います。
志願者が増えているからその大学の人気が高まっているかというと、必ずしもそうではないこともあります。また、志願者が減っているから人気がないという評価も危険です。その背景をよく理解するようにしましょう。
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