
こんにちは。まさおです。
入試直前対策として、国文法に絞って主要都県の過去問解説を行っています。
今回は第3弾として「千葉県公立高校の国文法過去3年分」を取り上げます。
千葉県の過去問題は教育委員会にも公表されておらず、あまり解説を厚くできませんでした…(汗)
◆千葉県公立高校は大問四または五で必ず国文法が出題される。
⇒本文中の4つの波線の単語から指定された性質のものを選ぶ問題
⇒年度によっては2問出ることもある
◆付属語や副詞などの識別問題が出る
⇒難易度は東京や神奈川に比べて高い。
⇒品詞とその性質を正確に指摘できれば解答できる
※10個ある品詞の特徴を正確に頭に入れておくことが重要
国文法の出題状況
2022年1月6日段階で千葉日報や産経新聞のWebサイト上に掲載されている過去問をもとに国文法の出題状況を見ると以下のようになります。
千葉県教育委員会は過去問題をきちんと公開した方がよいと思います。他都県に後れを取っているように見えます。
年度・区分 | 問題番号 | 出題内容 |
---|---|---|
令和3年・本検査 | 大問四問一 | 形容詞「ない」の識別 |
令和2年・本検査 | 大問五問一 | 副詞の識別 |
平成31年・本検査 | 大問五(1) | 助詞「の」の識別 |
平成31年・本検査 | 大問五(2) | 被修飾語 |
他都県と異なり、出題内容が多岐にわたっています。
しかもレベルも東京や神奈川に比べると少し難しく、丁寧な学習をしていないと回答に迷うような問題です。
基本的な対応は
・傍線部の品詞を適切に応えられるように練習する
・同じ品詞内での性質の違いを見抜けるようにする
国文法の学習をきちんとしておく必要があります。
過去問4回分の解説
実際の過去4回分の問題とその解答について解説します。取り組みやすいように一部問題の表記の仕方を改変しているのでご注意ください。
令和3年本検査(「ない」の識別)
次の――部①~④の四つの語のうち、品詞が異なるものを一つ選び、その符号を書きなさい。
①選択することはできない
②そうでない選択
③割れてしまうかもしれない
④倒れてしまわないのは
「ない」の識別は頻出です。必ずできるようにしておきましょう。
「ない」の識別では、最初に品詞を見抜く練習をします。
◎助動詞「ない」…文節に区切ったときに先頭に来ない(付属語)
◎形容詞「ない」…文節に区切ったときに先頭に来る(自立語)
この方法を使うとすぐに解答が出るケースが多いです。
①~④を文節に区切ってみましょう。
①選択する/ことは/できない(先頭に来ない⇒助動詞)
②そうで/ない/選択(先頭に来る⇒形容詞)
③割れて/しまうかも/しれない(先頭に来ない⇒助動詞)
④倒れて/しまわないのは(先頭に来ない⇒助動詞)
「ない」を「ぬ」に置き換えられるかどうかという決め方でもよいと思います。
正解は②です。

形容詞の「ない」は自立語なので、文節の先頭に来ることができます。助動詞との違いを本質的に理解していれば、少し迷うようなケースでも自信をもって解答を絞り込むことが可能です。
「ない」の識別は以下の記事でも詳しく解説しています。
令和2年後期選抜(副詞の識別)
次の――①~④の四つの語のうち、活用しない自立語である副詞を一つ指摘し、その符号を書きなさい。
①より明確に見えてくる効用もある
②意外な性格が露わになったりする
③つぶさに見て批評する
④物理的に両立できない
四つの語が、いずれも「~に」となっていることに注目しましょう。
副詞とは「単独で連用修飾語になる、活用しない自立語」です。
今回の問題はすべて「~に」と「に」で終わっているので、形容動詞との識別問題だと気づければかなりレベルが高いと思います。
※形容動詞の活用は「だろ/だっ・で・に/だ/な/なら/○」でしたよね。
問題文でもヒントが出ていますが、形容動詞の活用をさせてみれば福祉課形容動詞か見分けがつきますね。
①「明確に」⇒「明確だ」「明確な」と活用するので形容動詞
②「露わに」⇒「露わだ」「露わな」と活用するので形容動詞
③「つぶさに」⇒「つぶさだ」とは言わないので形容動詞ではなく、副詞。
④「物理的に」⇒「物理的で」「物理的な」と活用するので形容動詞
よって、正解は③になります。

形容動詞の基礎知識は以下からも確認できます!
平成31年後期選抜(「の」の識別)
次の――部①~④の四つの「の」のうち、一つだけ働きの異なるものがある。その符号を書きなさい。
①この十五、六歳というのが、質的変化が起きる時期だ。
②おとなのそれとは違います。
③一体化して読むのがふつうです。
④集中が可能なのは、
頻出の「の」の識別です。神奈川県でも出題されていましたね。
今回の「の」の識別ですが、一般的には格助詞として名詞につくことが多いです。
まず選択肢をよく見てみましょう。
①「いう」という動詞についている「の」
②「おとな」という名詞についている「の」
③「読む」という動詞についている「の」
④「可能な」という形容動詞についている「の」
このように「の」の上についている言葉を見比べてみると、②だけが名詞(体言)につき、他の3つは用言(動詞・形容詞・形容動詞)についていますね。
それを根拠に解答を②とすることが可能です。
それ以外にも、①③④の「の」は「こと」「もの」などの名詞に置き換えられるということに気づけば、やはり②だけが性質が違うと気づくことができますね。

「の」の識別の基本パターンは以下の記事からも確認できます!
平成31年後期選抜(被修飾語の抜き出し)
次の文の「昔」はどの言葉に係るか。文章中から抜き出して、一文節で書きなさい。
昔、何かで、本当に人をつくるのは十六歳までの読書だという意味のことばを読んだ憶えがあります。
東京都立では頻出の修飾語がどの言葉を修飾しているかを答える問題です。
「修飾語」とは、ある言葉を詳しく説明する言葉です。
修飾語が詳しく説明している言葉を被修飾語と言います。
また、修飾することを「係る」と言います。
例)美しい 風景
この例では、「美しい」が「風景」を修飾しており、「風景」は被修飾語です。
また、「美しい」は「風景」に係る言葉となっています。
さて、例文の「昔」はどの言葉を修飾しているでしょうか。
修飾語の特徴は、「自分より後ろの言葉しか修飾できない」ということです。
「昔」の位置を少しずつ下げて、どこまで下げられるかを考えると被修飾語がわかります。
何かで、本当に人をつくるのは十六歳までの読書だという意味のことばを昔、読んだ憶えがあります。
「昔」は「読んだ」の直前まで動かすことができますね。
解答は「読んだ」です。
「一文節」で抜き出すという条件にも注意しましょう。

修飾語の詳細は以下の記事からも確認できます!
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