こんにちは。まさおです。
静岡英和女学院がこの4月から定期テストを廃止しました。ここ数年、定期テストのメリットデメリットがネット上で話題になっていますが、果たして定期テスト廃止は良いことなのでしょうか?あるいは生徒の負担を増やす悪手なのでしょうか?
今回のテーマは「実は正しい!定期テスト廃止について」を取り上げます。
本質的には正しいと思いますが、日本の教育習慣や入試をみるとデメリットを感じるも人多いように思います。ここが最大の問題です。
少しずつ増える定期テスト廃止
2022年4月から静岡英和女学院の中1と高1で定期テストが廃止されました。
定期テストを辞めて、こまめに行われる小テストに何度もチャレンジして学力の底上げをするという対応をとっています。
中1と高1だけというのは、学校側の全面廃止によりリスクがあると考えてのことだと思います。特に受験学年は入試に向けた学力評価の要素があるので、なかなか廃止しづらいのかもしれませんね。
定期テスト廃止は都内の公立中からスタート
業界内では有名な話ですが、定期テスト廃止は千代田区立麹町中学校が2018年度に取り入れて話題となりました。
その後、世田谷区立桜ケ丘中学校も2019年から定期テストを廃止しています。
ニュースで知り得る限りは九州や静岡、広島でも定期テスト廃止の動きが広まってきていることがわかります。
草分けともなった千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長(当時)のインタビュー記事が以下に出ています。
この記事をもとに定期テスト廃止の狙いを整理すると要点は以下のようになります。
定期テスト廃止で負担が増えるという生徒の声もあるようです。
特に、定期テストの学習方法が確立されてよい成績をとっていた生徒は対応方法が分からなくなってしまうようです。
定期テストで得点を取るということだけを考えれば、方法論が確立されている生徒は優秀で素晴らしいということになりますが、定期テスト終了後にその学習内容がどれだけ定着しているかという視点を持つことが大事になります。
テスト終了後、せっかく覚えた知識をきれいさっぱり忘れてしまう生徒も多数おり、これを容認していることも問題ではないかと思いますね。
本質的に生徒の学びの姿勢を改革しようとすれば、定期テスト廃止は正しい方向性だと思います。
定期テスト廃止で生徒の負担が増えるのはある意味当然です。生徒の負担を減らすために定期テストを廃止しているわけではないからです。
むしろ、一夜漬け勉強による瞬間最大風速を出す方式の学習がその子供の本質的な学力形成にどんなデメリットを与えているのかを考え、その方向性を時代の変化とともに改めるというスタンスで受け止める必要があると思います。
現在の入試は一夜漬け方式であるという大問題
定期テストだけを切り出せば、廃止の方向性は長い視点で生徒の一生使える学力を育てる上で重要だと主もいますが、もう一つ念頭に置かなければならない大問題があります。
それは、現在の学力検査型の入試制度が一夜漬け型の勉強で成果が出る制度になっているということです。
定期テストに比べれば入試の範囲は膨大ですから、一夜漬けは無理と考える人もいるかもしれませんが、「与えられた範囲を塗りつぶして得点化する」という仕組みは本質的に定期テストと一緒です。
だから、定期テストを廃止すると「範囲指定の試験勉強に対応できなくなる」といった議論が出てきてしまい、話をおかしな方向にもっていってしまうのです。
社会に出れば、あらかじめ範囲が指定された課題を塗りつぶすような勉強では通用しない(範囲が指定された課題自体がほとんどない)ので、今の入試制度⇒定期テストが大事という議論そのものの見直しが必要ではないかと思います。
日本の将来や子どもたちがこれから複雑な多様化社会で活躍するためには、定期テストの廃止は有効な施策だと思います。ここだけを取り出すのではなく、教育全体のデザインを国が主導して整理しないとだめだと思います。
まずは入試改革、その後日々の学習習慣や評価制度の改革という順序だときれいに進むと思うのですが、それにはあと20年くらいかかるかなぁ…。
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