こんにちは。まさおです。
5/26、東京都教育委員会は都立高校入会社選抜におけるスピーキングテスト結果の活用について公開をしました。当日の試験を欠席した場合の得点処理方法についても言及されています。
このやり方で問題がないのか、意見が分かれそうです。
今回のテーマは「都立高校スピーキングテスト欠席時の得点処理」です。
スピーキングテスト欠席者対応
5/26、東京都教育委員会は令和5(2023)年度入試から使用する、東京都中学校英語スピーキングテスト(以下、ESAT-J)の結果活用について方針を示しました。
特に、試験当日に感染症などに罹患して受験できなかった場合や、試験日段階では東京都の公立中に在籍しておらず試験を受けていない場合などの対応についても今回は言及されています。
不受検者のスコア算出方法
不受検者のスコア産出方法は、以下のような方法によります。
- 英語学力検査の得点により不受検者の順位を決める
- 当該不受検者の上下5名ずつ(合計10名)以上の受検者を集計範囲と定める
- 集計範囲に含まれる他の受検者のESAT-Jの結果を得点化し、平均値を求める
【得点化の方法】
A~Fまでの6段階の評価を、A:20点、B:16点、C:12点、D:8点、E:4点、F:0点に換算 - その平均値を当該不受検者の「仮のESAT-J結果」とする
- 仮のESAT‐J結果は以下のように算出する
得点の平均値をA~Fの評価に戻す。
18点以上:A
14点以上18点未満:B
10点以上14点未満:C
6点以上10点未満:D
2点以上6点未満:E
2点未満:F
同じ得点の受検者が10名以上いる場合は以下のようなイメージになります。
同じ得点が10名に満たない場合の算出方法等はこちらに記述されています。
スピーキングテストを受けていないのにスピーキングテストの得点を出そうとしているのですから無理が生じるのは当然なのですが、上記のように前後の受検者の平均をとって本人の得点とするという手法を提示してきました。
合否に使う前提で得点が必須であれば、この方法くらいしか思いつかないというのも理解できますが…。
不受検者の得点算出は合理的か?
不受検者の得点算出方法について、不公平だと声を上げる人がたくさん出てくると思います。
今回のやり方は、とにかく入試で必要な得点を何とか出さなければならないので、「最も本人の実力に近い得点になるだろうと思われる方法を無理やり考え出した」という感じが色濃く出ています。
最大の問題点は、筆記テストとリスニングテストの得点からスピーキングテストの点数を予測しようとしている点です。
筆記テストとリスニングテストとESAT-Jの得点の関係がこのように整理できるのであれば、数年のスピーキングテスト実施でデータ蓄積がされれば、過去データからスピーキングテスト予測ができるようになるということを言っているのと同じです。
いずれにせよ、受け手もいないスピーキングテストを同じ学力検査得点の受検者の平均点から出すというのは、以下の点で不公平と言わざるを得ません。
- 不受検者は同じスコアの受検者の平均値しか取れないため必ず集団の真ん中に入ってしまう
- 平均点より低いスコアを出してしまった受検者は不受検者の下に必ず入ってしまう
入試は1点刻みで合否が決まりますから、きちんと受験してかつ結果が平均値よりも悪かった生徒は不受検者よりも下に扱われてしまうことになるので、ボーダー付近の受験生は合否の逆転が起こる可能性があります。
それも含めて入試なのだという考え方であれば強行もできるでしょうが、受検生本人や受験生の保護者はこのような決定の仕方で納得できるのか、疑問も残ります。
個人的には、ESAT-Jは実施をするが入試のスコアには組み入れず、入学後の参考データでまずは様子を見る方がよいのではないかと思います。
あるいは、入試当日に面接試験などでその場で結果を出せるように学力検査実施日に抱き合わせでできる簡易なテストに作り直しをするといったことも重要ではないかと思います。
発音の正確性をどこまで評価するかということになりますが、先立つ学校の授業に発音の正確性の指導がないのであれば、入試でのみ発音の正確性を見るのも制度的には不備があるように見えますね。
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