【英語4技能】東京都が2022年度高校入試スピーキング導入を延期

教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです!
6/11、東京都は2021年度入試から活用を予定していた「英語スピーキングテスト事業」の導入を1年延期することを発表しました。
新型コロナウイルスによる休校の影響などへの配慮が主な理由です。
導入は現在の中2生が1期生の予定でしたが、1年繰り下がるということになります。

今回は「東京都の英語スピーキング事業と入試への活用」を取り上げます。

見出し

2020年度は一部希望校で500名規模のプレテストを実施
⇒2020年度は問題等の周知に主眼を置き、スケジュールに余裕を持たせる
2021年度は都内の全中3生80,000名規模のプレテストで終了。
2022年度に本実施を行う
⇒本実施では都立高校入試の評価に活用する予定

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東京都の英語スピーキングテスト事業とは

東京都は中学生の英語4技能の能力を図るためにスピーキングテストの実施を計画していました。
委託先は入札を行い、4社のコンペの結果、ベネッセコーポレーションに決まったことが2019年5月31日に東京都教育委員会より発表されていました。

2019年に実施されたプレテストでは以下のように実施をされました。

1.実施日時
 2019年11月7日~12月21日

2.対象校
 77校で約8000人

3.会場数
 中学校77校、都立高校1、民間施設1、合計79会場

4.実施方式
 専用タブレット、イヤホンマイク、防音用イヤーマフを使用し、音声を録音する方式

東京都教育委員会ホームページより

詳細レポートは以下のリンクから確認可能です。

令和元年度 中学校英語スピーキングテスト プレテストの結果について|東京都教育委員会ホームページ
東京都教育委員会のホームページ。事業内容、入試、都立学校、教職員採用、教員免許、生涯学習などの情報をお伝えします。

実施のポイント

都立高校入試に活用する前提で、公平性と出題内の用が適切か、全中3生の記簿に耐えうる内容かといったポイントで確認をしていたようです。

都の発表資料からは、おおむねうまくいったというような結論が出ていますが、以下の情報がないのでもう少し様子を見た方がよいように思います。

試験中の端末不具合の発生率

センター試験のリスニングもそうですが、一定数の端末を試験で使う場合必ず不具合を起こす端末が出て来ます。
これは今後コンピューターを使ったテストに移行する際に必ず直面する問題で、代替機の準備や受験者の分散によって回避をするのが一般的です。

今回も何らかのトラブルがあった可能性はありますが、77会場で日程も分散していたことから「事件」にはならなかったのだと思われます。
本当にトラブルがなければ、その旨を記載してくると思うのですが、記述がないということは課題として残しているのではないと思われます。

問題漏洩への対応

試験期間が長引くと、何らかの問題漏洩のリスクが高まってきます。一般的には何パターンかの問題セットを作って、どの日のどのセットが出るかランダムに設定することで漏洩リスクの低減を図るのでしょうが、相手が80000人もいて、SNSでの拡散が大好きな中学生であることを考えると、仕組みの構築と受験生への漏洩防止の教育など、複数の施策をとっておく必要があると思います。

まさお
まさお

1回のプレテストで出てきた課題を、来年度の入試までに改善できる日程的な余裕が今回のコロナ騒ぎでなくなったという運営側の問題も大いにりそうですね。

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試験の延期による影響

導入延期のよる影響は、現在の中2生と現在の中1生に分けて考える必要があります。

現在の中2生への影響

現在の中2生がどの程度この事実を理解しているか不明ですが、指導する立場としては、正直「うれしい」出来事だと思います。

ただでさえ、休校期間が長引き授業再開も受験学年優先となっているため、現在の中2生の授業がいつまでにどの程度終わるかは教師も含めて予測がついていないと思います。

そこに新規のスピーキングテスト導入では、1年以上先のこととはいえ時間的にも精神的にも余裕がなく厳しいものだと思います。

懸案事項が1つ消えたと思っておけばよいので、ラッキーとして片づけておけばよいと思います。

現中1生にとっては重い宿題

ところが、現中1生はこの問題、後々重くのしかかってくるものになります

この件に限らず、入試制度の変更というのは初年度の受験生にとって少なからず外レスをかけるものです。
今回のスピーキングテストに合わせて言えば、本来、1つ上の学年が80,000名規模で入試に導入し、
・合否への影響度合い
・問題難易度の確認
・志望校によってどの程度の得点が合格ラインとして必要か

といった情報を得てから望めたはずなのです。

それが自分たちが1期生になってしまうことで、前年までのプレテストの結果をもとに本番入試への影響を「予測」することしかできず、データに基づく判断ができません

これは受験生本人もつらいのですが、実は塾や学校の先生の方が負担が大きいのです。
塾の先生は、どの受験生も条件は同じと割り切って冷静な対処をされると思うので、大きな誤算はないものと思いますが、受験生本人は緊張することになると思います。

入試そのものは5教科500点満点に内申点もありますから、全体の総得点に占めるスピーキングの割合はほんの少しにすぎないという考え方もできます。

一方で、そのほんの少しの得点で合格になったり不合格になったりするのが入試ですから、無視もできないというのが現実だと思います。

まさお
まさお

東京都は財政的にも専用タブレットを使ったスピーキングテストなどの実施がしやすいですが、これがある程度実績を出してくると、真似をする自治体が増えてくると思います。
政府のGIGAスクール構想と合流して、早く全中学生がスピーキングも含めた4技能の学習ができる環境に整えられるとよいですね。

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